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7月はPTNA連載「指導のいろは」に2回寄稿文をアップしていただきました!新人のピアノ指導者の方々への応援の気持ちを込めた素晴らしい企画。教本の基礎知識を整理してまとめてみました。時代の波を感じつつ、教本研究の先にあるもの、指導法の進化について色々考えるこの頃です。
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まずは自身がピアノ指導者駆け出しだった頃に立ち返り、
それまで知らなかった様々な指導法に出会い感動の連続だったことを思い出すことから。
何に迷い、何がきっかけで教本研究を始めたのか、
その後、何に感動し、興味を広げたのは何だったのか、
教本研究を進めていく中で得たことが何に役立ったのか、整理してみました。
「指導のいろは」では、多くの先生方がいろいろな視点で貴重なお話を書かれています。
私は、教本研究者の立場からのお話です。
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全く予備知識がなく、たまたま米国で知った様々な教本は、
私にとってはカルチャーショックのような感覚で受け止めた記憶があります。
写真は上から
クラークピアノ教本(1955:ミュージックツリーの前身:フランセス・クラーク共著)
music pathways (1983:Lynn Freeman Olson 共著)
Sing And Play (1981:Ann Collins 共著)
現在はどれも絶版ですが、私の知る限りでは、
1955年以降フランセス・クラーク氏が用いた5線譜を用いない楽譜の導入法は
プレリーディングと呼ばれ、米国を中心に広まっていくことになります。
現在では、世界各国の教本にプレリーディングによる楽譜導入法が使われています。
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上はmusic wird lebendig(1989:Carol&Walter Noona)
米国で出版されたドイツ語版メインストリームス。
下はふたつの手・12のキー(1986:クラウス・ルンツェ)でリトミック教育家による教本。
時代と共に、はじめての子供達向け教本の対象年齢はどんどん低くなり、
様々な工夫が世界各国の教本に見られる時代になりました。
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国際音楽教育学会で世界各国の指導者たちによって発表されてきました。
写真は上からメインストリームス原著とドイツ語版の表紙
Sing and Play (Preschool ) 3巻の表紙
Music Educators National Conference 1992 のレジュメ集
時代は進み、世界中の教育家が研究を進めて様々な指導法を考案し、
その影響はグローバルなものなっています。
ピアノ指導においては、子ども向けのコンクールも増えて、
指導者向けの講座や研究会も多く、
日本では一年中様々なコンクールが開催されています。
多くの先生方が学ぶ機会としてこれらを活用される時代になりました。
時に、こんなに競争する場が多くて良いのだろうかと思うこともありますが、
学ぶ場としてよく考えて選び、活用していくことが大切だと肝に銘じています。
私も多くの素晴らしい先生方と出会い、学ぶ機会をいただいていることは何よりの励みになっています。
写真は7月に行われたコンクールと講座での写真。
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素晴らしい先生方との出会いは、何物にも代え難い宝物になっています。
自分がこれまで知らなかった曲との出会いもたくさんあり、
表現の工夫について考えるのは、指導の工夫について考えるのと同じくらい楽しい時間です。
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武田真理先生のお話と演奏は、素晴らしく、
メソードの魅力をわかりやすく伝えてくださいました。
三善晃先生の素晴らしい感性とピアノ指導への熱い思いにしみじみと感動し、
世界に溢れるほど出版されている様々な教本の中で、
日本人として、さらに、世界の教本を見てきた研究者の一人として
とても誇りに思える教本に出会えている幸せを深く噛み締めています。
最後までお読みくださりありがとうございます。
次回は日本で出版されていない米国の素晴らしい教本について、
書いてみようかな、、と考えています。
暑い日がこれからしばらく続きますね。
どうか皆様お元気でお過ごし下さいますよう。
たくさんの素晴らしい出会いに感謝をこめて