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公務員の人事評価制度は住民サービスの向上を目的とされたい
こんにちは BOKUです。
前回、能力主義は正義か?について考えている中で、現行の公務員の人事評価制度について思うところがあったので、今回は人事評価制度についてnoteにまとめていきます。
いまの人事評価制度はこんな制度
今の人事評価制度は国家公務員から始まり地方の公務員にも広がってから
10年余りが過ぎました。
導入前の制度と比較した違いは、目標による管理を導入、事前面談と事後面談が義務化、そして評価結果がより厳しく給与や昇任・降格に反映されるという違いがあります。
評価の厳格化の他に人事評価には3つ重要な機能が期待されています。
1.評価者が各職員の業務目標を確認すること
2.能力と業績、不足部分の確認をすること
3.職員に処遇を納得させること
昔のものと比べると人事評価制度を行うことのメリットは、面談を通じて、上司からの指導によって職員の能力を向上させるだけでなく、働きがいを与えるもので、
「みんなで仲良く」「組織が面倒を見てくれる」「昭和の職場」を改善するのがいまの人事評価制度らしいです。
しかし能力主義のダークサイドを知ったことで、ぼくが思ったことは、この人事評価制度はまさに能力主義が色濃くでている制度だということ。つまり、できる職員によってはプラスに働くのかもしれないけれども、そうでない職員にとっては、大きくモチベーションを下げる制度設計じゃないかという疑問がわきました。
ある市役所の事例
ここで一例。下関市役所で導入された人事評価制度に関する2022年の記事です。「E判定の身にもなってみろ」とタイトルから過激な記事です。
人事評価制度が無意味な業務や競争を煽った結果、職員の士気を下げ、住民サービスを低下させるという問題提起の内容になっています。
市の財源は決まっているので、優秀な職員、全員の給料がUPという訳にはいきません。いい評価をつけた分、悪い評価(減給)を必ずつけなければなりません。ボーナスをかけた熾烈な椅子取りゲームのようになってしまっているとも言えます。市役所の仕事は市民相手の仕事だから数値化できない業務の方が多いのに、人事評価者の都合のために無理やり数値化した目標設定にしないといけないルールになっています。
たとえば、窓口対応で1日何人こなす。は数値として設定しやすいですが、困っている市民の話にじっくり耳を傾ける職員はだめな職員と言えるのでしょうか?
目標を数値化する建前は、「評価者の感情に左右されることなく正確な判断ができるようにするため」ですが、評価しやすくするためだけに無理やり数値化するようなやり方、市民サービスの為にならない目標設定を推奨するって本末転倒ですよね。
熾烈な椅子取りゲームのようになっては無意味な業務や競争を煽るだけで、よくない。不平不満を生まないように、現状多くの自治体はほとんどの職員の評価がB。これは昔ながら全員を同じように昇給させている状態です。
必要経費を見積もってみた
やっても、やらなくても結果が一緒なら、しなくていいのでは?
・・・では、法律が許してくれません。
第三節 人事評価
(人事評価の根本基準)
第二十三条職員の人事評価は、公正に行われなければならない。
2任命権者は、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとする。
(人事評価の実施)
第二十三条の二職員の執務については、その任命権者は、定期的に人事評価を行わなければならない。
2人事評価の基準及び方法に関する事項その他人事評価に関し必要な事項は、任命権者が定める。
3前項の場合において、任命権者が地方公共団体の長及び議会の議長以外の者であるときは、同項に規定する事項について、あらかじめ、地方公共団体の長に協議しなければならない。
地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)で、人事評価をしなければ、いけないことになっています。
過去には、人事評価をしていないことを理由に市民から訴訟され、裁判が行われていたりもします。気になる方は「宝塚市職員勤務手当等返還請求」と調べて見てください。
腑に落ちないと思いながらも実施が必須な人事評価。
ちなみにコストはどれくらいかかってるのか、試算してみます。
市町村職員数 136万人 R5.4.1(総務省:一般行政+公営企業会計)
平均給与 558万円(R5地方公務員給与の実態より)
時給換算 2,864円
目標設定に要する時間 3時間/人(体感)
面談に要する時間 30分✕3回✕2人=3時間/人(体感)
実績入力に要する時間 2時間/人(体感)
大体 8時間/人✕2,864円✕136万人=311.6億円
ざっと見積もって311.6億円。この金額、毎年必要になる金額です。
地方公務員の仕事の多様化と複雑化に対応するための人事評価制度
1.能力・実績に基づく人事管理の徹底
→より高い能力を持った公務員の育成
2.組織全体の士気高揚、公務能率の向上
→住民サービス向上の土台をつくる
上記のような当初の目的が達成されているなら、かなりお得な金額ではないでしょうか。(市町村純計額、予算75兆円)R4総務省資料
まとめ
数値では測りにくいのが公務員の多種多様な業務の特徴。どの業務も市民や市民生活にとって必要だからやっている業務。地方公共団体の人事評価制度は市民サービスの向上を目的とすべきに思います。上司と部下の面談は、人のアラ探しではなく、良好な人間関係の構築と育成を目的にあるべきに思います。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
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