私の身体
この世に繋いでいたのは私だった。
あの時もう役目を終えようとしている君を、文字通りリードという鎖でこの世に引き止めた。
君は何一つ変わってない。
ただリードで雁字搦めにし、無理矢理に動かす。
私はそれを断れなかった。
言うなれば廃棄同然の車に、最新のエンジンを繋げたようなもの。
いつまでも保つとは思っていない。
事実機能は低下している。
今度の手術ではそれを補うリードをもう一本付け足したんだ。
私は君を私の生に付き合わせている。
それでも私は生きたい。
君と共にまだ見ぬ景色を見たい。
まだ感じたことないことを感じたい。
ただ歳を取りたい。
この世にもう少し居たい。
まだもう少しだけ君と居たい。
ようやく気づいた。
これは私の身体。
生まれて此の方そうである。