キャリアを自発的に発展させる人たちの考え方に学ぶ
最近、職場でキャリアについて考えてもらったりみんなで考えるような機会を提供する活動をしていて、あることに気がつく。
どうも、キャリアに納得感を持って進んでいく人と、「イチモツを抱えてる感」を出しながら進んでいる人がいる。
いわゆるキャリアの成功者は、キャリアに納得感を持って進んでいるように見える。自ら求めて、掴んで、そして与えられた役割を全うする。
みんながみんな成功者でないにしろ、納得感を持って進んでいるように見える人は、「他にやりたいこともなく、ここでよいと思っている」といった、やや受け身なアプローチの方もいるが、共通して「今ある場所に集中している」印象がある。
(その状態を、外資系企業ではエンゲージメントが高いと呼んでいる模様)
一方で、イチモツを抱えている感のある人々は、「ここではないどこか」を常に探しているような、今ある場所に100%集中しきれていない印象がある。
大抵、「上の人」とか「職場環境」とか「上に上がれない」とか、何かしら不満を露わにしていることから検知できる。
そうした、イチモツを抱えている感のある人々の中には、もやっとしているその気持ちを表面化してくる人もいるし、なにも発しないことで静かな抵抗を示す人もいる。
私は30代の頃特に、上司や職場へ反対意見を言うことを憚らず、ゴマスリもろくにしなかった。だから、こうしたイチモツ抱え組の動きには、気づきやすいし共感もしてしまうところである。
うまくガス抜きをしたり消化している人はいいけど、例えば40歳までになんとかしたい、とか自分を追い詰めたり、切羽詰まって考える人は苦しいだろうな、と思う。
さて、では、今ある場所に集中し切っている、その純度の高い人はどんな思考なのか、興味がわかないだろうか?
長い間キャリアをぐんぐん発展させてさらにまた新しいチャレンジをするすごい人が身近にいるのだがその人からそのエッセンスを聞くことができた。
曰く、その仕事を始める時には終わりの形を考えている、とのこと。
これはなるほど、である。
つまり、
この任務は長くて4年、来年はこれをして、再来年はこんなふうにして、その次にここまでやってあらかたできたら次へ行く…
こんなふうに入り口と出口をセットでデザインしてあるのだ。
だから、
「次のステップはどうしよう、見通しが立たない」なんてこともないし「いつまでやれば認めてもらえるのか、また来年も同じなのか」などと先の見えない行き詰まりを感じることもない。
そもそも、その、先を見ようと動くのは自分だし、動かないと決めるのも自分である。
行き詰まりを感じる人は、出口(次の入り口)を決めるべく積極的に動いていないことも多い。それは上司が運んでくれるなどとかんがえていたり、それが起こらないから転職しないといけないなどと考えたりする。
転職にしろ、異動にしろ、ステイにしろ、次の一手を自分で決めようとすることが大切だ。その次の一手を強制的に打つことを自分に強いる人は「何かを始める時どう終わるかも併せて考えている」ということだ。
確かに、過去振り返って、目立った仕事をしている人は数年ごとに居場所を変えている。
もちろん、オファーが勝手に来たものもあるだろうけど「任期中にこれをやる」と決めたものが達成できたタイミングで、或いは、後継者を育てているので育ったタイミングで周りから「次」の声がかかるのかもしれない。(ディレクター越えてくると人事も口を出してくるだろう)
そう考えると、確かに、過去に私も閉塞感を感じていた時は出口戦略が弱かったと思う。次にやりたいことがないけど同じことを極めるのは違う、と思う場合、じゃあいつまで同じを続けるのかを先に決めてしまうのもよいのかもしれない。
結局のところ、真剣に、次に何をしたいかあるいはしたくないかを考えない限りはずっとイチモツ抱え人材だ。
そのネクストステップを決める材料がほしいのであれば正直に上司なりメンターにそう表明したほうが、「飼い殺しされている」などと言ってくすぶっているよりはよいと思う。思い切って、自分より若い異なる分野の人たちに聞いてみるのもおもしろいかもしれない。
マミートラックなんて言葉があるけど、男女関わらず「ここでもないどこか」がちらつく場合は、今のレースのゴールテープの切り方を考えてみるのはよいかもしれない。