高校生活2

入学式のすぐ後に、いろんな気持ちが入り混じった胸を落ち着かせるまもなく、自分たちの寮の部屋に案内されました。

両親とはこの時点で一か月ほどお別れ。振り返ると泣いてしまいそうだったので、そんな気持ちを紛らわせるようにまるでジブリのめいちゃんのように大股で寮まで向かったのを覚えています。

皆、お互いに初めましてのなんともはりつめた雰囲気の中で、だれにも話し出す勇気はありませんでした。
わたしも、何をきっかけに話し始めたのか、思い出せないので、本当に些細な事から始まったのではないかと思いを巡らせています。

徐々に緊張がほどけて、一か月も一緒に過ごせばもうそこには自然と友情が芽生えるわけで。
私もそれを友情だと、目の前の人を友達だと信じて疑うことなどなく、夏休み直前まで迎えました。

そのころから、私は大学受験を視野に入れるようになり、すこしずつ、机に向かうようになっていました。
自分にはなにができるんだろうと考えて、今自分ができる精一杯の親孝行が受験で合格することだと思ったから。
合格、という形で支えてくれた人に恩返しできたらいいなと思ったのです。

そんな夏休み直前、ひとつ事件が発生しました。
クラスの違う男の子にテスト直前、最後の追い込みで勉強しているところを驚かされて邪魔をされてしまいました。
今思えば、受け流せばよかったものを、私はその男の子に向かってなんでそんなことをするのかと怒ってしまったのです。
その子は放課後に私を体育館の下に呼び出しました。謝りたいと言われたので、私はのこのこと指定されたところに行ってしまいました。

そこで話し合いをするうちに相手がヒートアップしていき、逆上し始めました。

初めての感覚を味わいました。日本語のはずなのに、同じ言語をお互いに話しているはずなのに、何を言っているかをまったく理解できなかった。
目の前の男の子が今何の話をしているのかを理解できないのです。

困り果てて何も言えずにいると、その子は次第に暴言を吐くようになっていきました。

お前の努力は全部無駄になる!!!!
ここで努力したって全部無駄やねん!!!
お前なんて社会のゴミで底辺のくせに!!!

このような感じでした。その子はわたしよりも下の習熟度のクラスにいたので、こんなこと言える立場にいないのですが、頭に血が上って訳が分からなくなったのか、同じような内容を何分間も言われ続けました。

人生で初めての恫喝でした。

ただ、こわくて かなしくて、泣くことしかできなかった。

幸いなことに友人が付いてきてくれていたので、その子が言いすぎだと止めに入ってくれて、その後大泣きしながら寮まで帰りました。

あとから、じわじわと怒りがこみ上げてきました。
その男の子に対してではなく、自分が何も言い返せなかったことに。

違うと、あの時否定できるほど、私は努力していなかった。
そんなことないと言えるほど、自分自身を信じていなかった。

弱い、甘えたままで何も成長していない
成長したつもりでいた自分に 腹が立って仕方がなかった。

いつまでも、くよくよしていられない。
卒業するとき、
自分の頑張りしだいで未来を変えられる
努力は無駄にはならないんだ
と私が合格する形で、結果で、示してやろうと思いました。

それから、私は勉強に本腰を入れるようになりました。


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