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2023年秋季北海道高等学校野球大会(新人戦)の応援歌レポート
2023年の北海道高校野球秋季全道大会は初の札幌ドーム開催となりました。
札幌ドーム開催の利点として、以下の点が挙げられます。
①1日の試合数が制限されない(晩秋の北海道は日の入りが早い)
②スケジュールが天候に左右されない(1桁気温や雪が降ることも)
③ブラバン応援の音響が素晴らしい(これが今回のテーマ)
次男が所属する野球部も出場し、札幌ドームへ応援に行く機会が出来たことから、今回は③にポイントを絞ったマニアックな観戦レポートを届けます。
甲子園のブラバン応援歌は『アメトーーク』で時折、取り上げられます。
個人的に印象が強いのは、大阪桐蔭の『you are suljgger』や、「魔曲」の異名を持つ智弁和歌山の『ジョックロック』、最近では近江高校の『Fire Ball』あたりでしょうか。
ちなみにTBS日曜劇場『下剋上球児』の第8話(12/3)で、取り上げられてたブラバン応援歌は『モンキーターン』という曲です。
試合展開上、ブラバン応援は重要な要素ですので、これを機会に興味を持って頂ければ幸いです。
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絶対王者 北海高校
今大会の優勝校です。
全国最多の甲子園出場回数を誇る絶対王者です。
ブラバン応援も経験値の高さから抜群の安定感を誇ります。
曲数も豊富であり、今夏の甲子園も経験していることから、応援する一般生徒の熟練度も高く、連携や統一感も申し分無い。
<応援歌の説明と特徴>
『アフリカン・シンフォニー』(甲子園と言えばこの曲)
「おーおーおおおー」の大合唱から始まるこの曲は定番中の定番であることから、各校の力量を測る課題曲的な存在。
『サンバ・デ・ジャネイロ』(ダンスの定番)
「アゲアゲ・ホイホイ」が印象的。
男女パートの掛け合いは北海高校ならでは、熟練した連携により成せる技。
北海にはメインダンサー的な存在がおり、ダンスのキレは超一品。
次男が家で密かに「アゲアゲダンス」の練習しているところも目撃済み。
『スピードスター』(俊足巧打の代名詞)
軽快な音楽に続いて全員で「スピードスター」と合いの手を入れる。
俊足巧打の1番打者で演奏される事が多い。
自らのプレースタイルから次男も憧れ演奏されることを夢見ている。
『ダイナミック琉球』(応援団長の男気)
ソロパートの歌唱力、声量が超重要。
「海よ〜」から始まるソロパートを30秒程かけてアカペラで歌う。
札幌ドームで歌い切る胆力が試される。
『Gフレア』(静から強へ)
ピアニッシモとフォルテッシモの応酬。
チャンステーマでの利用率高い。
『盛り上がりが足りない』(劣勢を覆せ)
「も!もり!もりあ!盛り上がりが足りない」のソロからの大合唱。
特に女子高生が盛り上がる傾向強い。
以上が主なレパートリーでしたが、北海以外の高校でも使用しており、曲被りが多発する場面も見受けられました。
それでは準決勝進出チームの中から特徴的な応援歌をピックアップします。
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スタンドが動き出す 東海大札幌
準優勝チームの東海大札幌は部員数を生かした物量作戦を展開します。
『トレイン トレイン』(大量部員の大移動)
大勢の応援部員が隊列を組み右へ左への大移動。
スタンド自体が動いていると思うほどのインパクト。
地元愛満載 別海高校
別海旋風を巻き起こした部員16名の地方公立校。
サヨナラ勝利やタイブレークで強豪に勝ち切り『21世紀枠』の最有力。
全員ベンチ入りの為、応援団は手作り感満載のブラバンと地元関係者。
『必殺仕事人のテーマ』(最初が肝心)
ソロパートで奏でるトランペットの入りが全て。
毎回、微妙に相違する愛嬌のあるトランペットの音色に地元愛を感じた。
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スタンド応援界の異端児 帯広大谷
ベスト4進出チームで唯一ブラバン応援が無い。
応援は太鼓とメガホンの音のみというスタンド応援界の異端児的存在。
ベンチ外部員も「ボールボーイ」などの運営対応の為、スタンド応援部員は太鼓担当1名のみ。
ちなみに次男は「ファールボール時に笛を鳴らす係」であり、親としては何とも切ない気持ちになった。
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特別推薦枠 国際情報
ベスト4進出チーム以外で特に印象が残る。
「ダンプレ」要素を取り入れた演奏の妙で表現力は突出している。
『ジョックロック』
パーカッションを多用した表現力は秀逸であり「魔曲」と呼ぶに相応しい。
白樺学園戦では「魔曲」により5点差からの逆転を演じ勝利。
心温まるエピソード 「時空を繋いだ応援団」
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大会の準々決勝、応援では対照的な国際情報と帯広大谷が対戦した。
国際情報は公立でありながら部員数で帯広大谷を圧倒し、全国区のブラスバンドを擁した応援体制は大会屈指だ。
前年「21世紀枠候補」となるも叶わず、「今年こそ」と意気込む「私立のような公立校」とブラスバンド応援の無い「公立のような私立校」の対戦は。2023年10月22日15時51分にプレイボールを告げる。
先制したのは帯広大谷。
悪魔的威力のブラスバンドが本格稼働する前に、電光石火の攻勢で2回に4点を先取。
しかし国際情報は落ちついている。
大量失点から逆転劇の譜面は、白樺学園戦で完成済み。
あとは譜面どおりに「魔曲」を奏でるだけだ。
国際情報は5回に逆転の「庵点」となる1点を返す。
そこからは「魔曲」の波状攻撃。
このままでは「太鼓とメガホン」が頼りの帯広大谷スタンドはあっという間に飲み込まれ、形勢が逆転する。
そう誰もが思ったその刹那、大きな波を押し戻す微かな波が生じた。
その波は小さくても確実に、そして次第に音となり形を成していく。
耳を疑い大谷スタンドに踵を返すと、服装こそはバラバラであるが、強い絆により塊となった若者達の集団が視界に入る。
即席とは思えない団結を見せ、熟練度の高い応援を繰り広げる塊は、回が進むごとに大きくなり、ついには「魔曲」の波を堰き止めた。
札幌ドームの外が暗闇に包まれた17時52分。
「魔曲」の楽譜にフェルマータが付され、4対2で帯広大谷が勝利した。
私は謎の応援団が気になり「何者か」を確認したところ、帯広大谷野球部のOBとのことである。
卒業後、進学した者、就職した者、それぞれではあるが、何かの力に引き寄せられ、札幌圏在住のOBが1人、また1人と札幌ドームに集まり最終的には30人程度の塊となった。
その中にはコロナ禍で甲子園を目指すことさえ許されなかった者、ベンチに入れず引退した者もいただろう。
それぞれの世代や立場の人間が集い、後輩達の晴れ姿を見た瞬間、当時の思いが溢れ出し、声を出さずにはいられなかったかもしれない。
試合後、「時空を超えた応援団」は、国際情報を讃えエールを送る。
高校野球ではあまり見ない光景である。
社会に出たら陽の目に当たる人間なんてほんの一握りだ。
ほとんどの人間は裏方として、青春時代の何倍もの年月を生きていく。
それを経験として実感したからこそのエールだったと思う。
国際情報も少しの戸惑いの後、「時空を超えた応援団」にエールを返す。
彼らの想いが時空を超えて報われた瞬間である。
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