10年前に死んだじいちゃんと話したことを思い出す 3歳だった僕がおっかなびっくり病室に入ると たくさんのチューブがあやとりみたいに うねうねとじいちゃんの体にからまっ…
1 ぼくたちは砂浜の向こうで蜃気楼みたいに建っている ショッピングモールへ向かって歩いた 雪みたいな白さの建物にオレンジ色の屋根が乗っかっているのがいくつも見える …
1 山道の最後のカーブで体重を傾けると 景色が、わっと広がって港町が見えた 潮の香りが青くきらめいていた 眼下の市街地の中へ降りていく 長い長い直線道路をぼくたちは…
1 雲ひとつない青空だった ぼくはバイクの後ろに理沙を乗せて 鶺鴒市の国道を走っていた 赤信号で停まると理沙が話しかけてくる 理沙「悠くんはさ」 悠「なに?」 理沙…
ピン……ポン 土曜の朝の優雅なモーニングは 一打の遠慮がちなチャイムによって壊された 誰だ、この飛島悠の ワンルームの平和を打ち破ろうとする不届き者は ええい知らな…
鈴銀(suzugin)
2022年12月18日 02:27
10年前に死んだじいちゃんと話したことを思い出す3歳だった僕がおっかなびっくり病室に入るとたくさんのチューブがあやとりみたいにうねうねとじいちゃんの体にからまっていたんだ僕に気づくとベッドの上で骸骨みたいなじいちゃんが笑って「優介か……」消え入るような声で呼びかけてくれた優介「元気になった?」「……なるわけねえだろ、なりてえけどな」優介「お医者さんきっと……良くなるって
2022年10月26日 12:07
1ぼくたちは砂浜の向こうで蜃気楼みたいに建っているショッピングモールへ向かって歩いた雪みたいな白さの建物にオレンジ色の屋根が乗っかっているのがいくつも見えるたぶんぼくがどこかの砂漠で遭難したらモールの幻を見るんだろうな何年か前に古い商店街やらスーパーを潰して作られたらしいけど詳しいことは知ったこっちゃないぼくだってオープニングセールのときに一度来たきりなのだ距離が縮まってモールの
2022年10月26日 00:42
1山道の最後のカーブで体重を傾けると景色が、わっと広がって港町が見えた潮の香りが青くきらめいていた眼下の市街地の中へ降りていく長い長い直線道路をぼくたちは走った悠「海だ」理沙「うん……」道路には背の高い椰子の木がずらっと並んでいて風といっしょに葉を揺らしているぼくはアクセルを開けてスピードを上げた理沙はぼくの体にぎゅっと抱きついてきた2「せきれい海浜公園」に着
2022年10月23日 21:40
1雲ひとつない青空だったぼくはバイクの後ろに理沙を乗せて鶺鴒市の国道を走っていた赤信号で停まると理沙が話しかけてくる理沙「悠くんはさ」悠「なに?」理沙「ずっとこの街に住んでるの?」悠「そうだよ」理沙「じゃあ詳しいんだね」悠「住んでたのは東側の地区だからぜんぶ知ってるわけでもないよ」理沙「そっか……この街……好き?」悠「まあ……嫌いじゃないよ」理沙「…
2022年10月23日 10:53
ピン……ポン土曜の朝の優雅なモーニングは一打の遠慮がちなチャイムによって壊された誰だ、この飛島悠のワンルームの平和を打ち破ろうとする不届き者はええい知らないや、ぼくは居留守を構えることにした16歳のぼくは休日を破壊する社会と戦うのだ扉の向こうの声「あの……すみません」悠「空き家ですよー!!」扉の向こうの声「えっ」それきり声は止んだなかなか素直なやつのようだったぼく