《小説》瑠璃色の見える場所へ 第四話(完結)
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ぼくたちは砂浜の向こうで蜃気楼みたいに建っている
ショッピングモールへ向かって歩いた
雪みたいな白さの建物にオレンジ色の屋根が乗っかっているのがいくつも見える
たぶんぼくがどこかの砂漠で遭難したらモールの幻を見るんだろうな
何年か前に古い商店街やらスーパーを潰して作られたらしいけど
詳しいことは知ったこっちゃない
ぼくだってオープニングセールのときに一度来たきりなのだ
距離が縮まってモールの姿が鮮明になっていくたびに
理沙の表情がこわばって、なんだか焦っているように見え