旅の終わりに
帰りたくない。
私たちは、今回の旅で清まったのだ。
美しい自然と、伝統と、芸術に触れて。
どうして、戻らなければいけないんだろう。
山に来なければ、決して味わうことのできない清さ。
成果を出す必要がない。出さなくても誰にも怒られない。ただ、私が勝手に落ち込んで自信をなくすだけ。
だから、非日常の世界を楽しめる。
少し電車に乗れば山の中に行けるなら
あの空気感に圧倒されるなら
山々に、風に、水に、清められるなら。
今すぐにそっちへ引っ越したいのに、
暮らしを送りたいのに。
私の暮らしは今ここにあって、
会いたい人も、やりたいことも、私を導く人も、
できるようになりたいことも。
全部こっちでできるから。
結局は今手の中にあるものを捨てるのが惜しいだけなのだけれど。
これでいいのだと自分に言い聞かせながら、また今日を生きていく。
人生は旅のようなものだとか、長い暇つぶしだとか言う。
別に正解はないんだから、心に従ったらいい。
もうすぐ、見えるよ。
この山を越えたら、新しい世界が。
わたしが、作るよ。
ひとつひとつ、築いていくよ、
生きていきたい世界を。
だから、こつこつ積み重ねていこう。
どうせ囚われているなら、
できる限り自由に。