分子栄養学に出会うまで
「ただいまー。明日学校ありますかー?」
これは小学校から帰宅した息子が玄関で言うセリフ。
今はもう聞き慣れたが、最初は驚き、そして笑い飛ばした。
平日のど真ん中。学校あるに決まってる。
低学年の頃から、
なぜ学校に行かなくてはいけないのか?
学校に行きたくない、とよく言っていた。
特別何かトラブルがある様子ではないので、だましだまし通い続けた。
途中、コロナでの一斉休校やオンライン授業があり、その時期は彼としては助かったようだ。
突然の異変が起きたのは中学年の夏休み明け。
好奇心旺盛で、やりたいこと、知りたいことに満ち溢れていた息子から、その光が突然消え、まるで別人のようになってしまった。
そして、学校へ行きたくないと泣きながら訴えてきた。
泣くということがほとんどない子供だったので、これはただごとではないと察知したものの、主人は「行けばなんとかなる」というスタンスで、学校へ行くように励ました。数日は休んだかもしれないが、なんとか登校を続けた。
泣きながら何度も後ろを振り返りながら登校して行く姿に、
胸が痛くて、私も不安定になった。
胸が痛い原因は、行き渋りに対してだけではない。
子育てにおいて、何年も苦しくて、みんなに合わせられないところを
なんとかしようと必死に息子を整えようとしていた。
息子への懺悔の気持ちで苦しかったのだ。
でも私が苦しかった以上に本人はもっと苦しかっただろう。
当初、私も一緒になってメソメソしていたが、このままじゃダメだ、と思い、ネット検索の日々。
そこで出会ったのが、栄養療法、そして分子栄養学という分野だった。
まず、体の状態を確認するために、親子で血液検査を受けた。
すると息子よりも私の体調の方がずっと悪いことがわかった。
そこから食事を見直し、処方されたサプリを飲み始めた。
同時に、朝陽を浴びてセロトニンを増やそうと早朝に家族でランニング。
本人は嫌がったが、なんとか連れ出して、1か月ほど続けた。
ランニングをやめたきっかけは、運動不足の私が派手に転んで怪我をしたためだったが、ちょうどその頃には体調に改善の兆しが見えてきた。
良さそう、と直感で思うものは、栄養でも運動でも無我夢中で取り入れたものの、何がどう心身に効いているのか?、このサプリは一体何のためなのか?、わからないことが多すぎた。
そこで、一念発起して分子栄養学を学ぶことにしたのだった。
今はもう、泣いて行きたくない、と言うことはない。
明日学校ありますか?、
は冗談なのか本気なのか、相変わらずよく言っているが。
必ずしも学校に行って欲しいとも思っていないが、
学校には数は少ないものの気の合う友人がいる。
なので、
「あなたが来るのを友達が待っているんじゃない?」
「あなたがいないとつまんないんじゃない?」
などと言って気分を持ち上げる。
すると、
「確かに」
と、やたら素直にその言葉を受け取って学校へ向かう。
彼の心の中は見えないし、本当はどう感じているかはわからない。
私ができることは、分子栄養学で学んだ、「自分の体は自分で養生する」、ということ。
彼にとっては、それが分子栄養学ではないかもしれないが、自分で自分を養生する力を得て、自分の道を歩んで欲しい。