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『海底軍艦』4K観賞

「午前十時の映画祭」でのグループB劇場は本日ラストだったので滑り込みで観てきました。

正直言うと劇場で再見したい度で言えば『妖星ゴラス』の方が勝るので、場合によってはこっちは捨てようと思っていたのだけど(気軽に遊びに出かけられない立場なのだ、若い頃と違って)チケットさえ取ったら後はなすがままだったよね

で、「ゴジラ1983」以来のスクリーン鑑賞だったんですよ。初見はテレビ放送だったですが、1983ニュープリントを経て、以降は自宅観賞で散々観てきた1本ではあるのですが、劇場観賞って完全に映画見るだけの環境じゃないですか、没入度合がケタ違いだったなぁと今回痛感しまして、つまりは最高でした
僕、まだまだこの映画純粋に楽しめるよ!

今回何気に感じた事だけ列記していきます
特撮がどうとか話題は絞っていない


海上に現れるムウ工作員

最初に上原謙と藤山陽子を誘拐しようと平田昭彦が連れてきた海岸
その沖合にムウ人潜水服が複数横並びに現れるじゃないですか
そしてその更に沖合に潜航艇が浮上してくる
音楽はM-4流れてて緊迫感煽ってるあそこ
もう最初に劇場で観た時に感じた事と言うのは細部が薄れていて、その後繰り返し自宅で見た印象から、ここなんかは割とちゃちい印象で、音楽に助けられてるなぁと思ってたんですよね正直
ロングだし
それが今回の観賞では、あの遠目に確認できてる感、そしてなんかムウ人はちまちま動いてる、あのショットを伊福部音楽と平田昭彦解説付きで見せられてるゾワゾワした感じが新鮮でした
もっと大きく映らないかなと思っていた事もあったけど、とんでもないね
あの距離感が最高に拉致されそうな危機感ある気がした
今後もっと愛でよう

来客には茶を出す

上原謙の会社に佐原健二が来た時、藤山陽子が一度出て行って、お茶を持って戻ってくる
ここの彼女の仕草、表情などをちょっと注目しちゃったのだけど、いや、いい演技してるな
ここは藤山さん台詞無いんだけど、このシーンの会話内容に対する当然の興味とか、また佐原健二が藤山陽子の動きに反応しつつ会話を続ける演技とか、恐ろしく充実したシーンだったわ

他にも、高島忠夫のオフィスに小泉博が訪ねてきた時、そのまま会話に突入してる後ろでお茶の準備しっかりしてたりね(これは直後の「蒸気人間!」のシーンにしっかり繋がる)
やっぱり客には茶を出すのよ、そこしっかり出てるのよねこの映画、なんて変な所見まくってた

轟天建武隊でもお茶と茶菓子を並べてるしね(凝視してたw)
高田稔とか藤田進が上原謙を訪ねて来てるシーンにだってお茶とケーキが並んでて、あのケーキの種類はなんぞ?とか考えてたね

ああたのし

登場人物の心の動き

例えば本作のキモと言っていい神宮司大佐、彼の劇中での心情の変化と言うのはこの映画の流れの中ではとても重要で、帝国再建!ムウとか知らん!と言う方向性から、錆びついた鎧を脱ぐに至る
その転換点を表情だけでしっかり表している田崎潤の演技ってのは是非見逃さないで欲しい!と今回強く思いましたね
もともと、M-18(いわゆる真琴のテーマ)が流れる湖畔のシーンは、映像も綺麗だし、親と娘の対決シーンとしても直球で殴ってくる場面で僕は本作トップクラスに好きな部分なんですよね
ここの藤山陽子、田崎潤の演技合戦、まぁ藤山さん台詞読みはお人形さんみたいなんですけどwそこがまた訴えかけてきてて良き、見逃せません

で、それとは別に、いつもはそんなに注目してなかったんだけどw今回なんか深く刺さったのが高島忠夫演ずる主人公、旗中なんですよ
なんとなく調子いい事言ってるようで根が真面目、でもお前もう少し年上に対して言い回しがあるだろう(^^;と思わなくもない彼なんですが
特に神宮司に対して辛辣ですが、このキャラクターも、実際に会うまでは「愛国心」とかには一定の理解を示していて、そういう会話もしっかりいれていて
さていざ会ってみればあんな頑固軍人だった、みたいなね
ヒロインに寄り添っていて当然な立場だから、いきなり自己紹介もなしに大佐をなじるのとか、展開として自然に受け入れてたんですが、彼の心境を考えると、同じようにこの段階で大幻滅の大マイナスだったんだな、まぁ娘のためなら動く!と考えてたわけだしー
などと言う部分が、妙に自分の中で際立った今回でした
クライマックスではもう素直に大佐に敬意払ってますしね
まっすぐだよなー
あと、人をなじるにしても目上の人には敬語を欠かさないってのは、やっぱいいよね

隅々まで東宝俳優陣を堪能する

ムウ帝国、天本英世の側近と言うかガードと言うか、そのあたりに配置されてるのが小川安三だったり広瀬正一だったりするのが昔からなんかツボで、あの帝国、筋骨隆々がいないんだよなぁw
そこが愛おしいのでついつい今回も脇に注目して天本さんあまり見てなかったw
轟天がムウに突っ込んできた時の地響きで右往左往する場面の広瀬正一のふんばり演技を見よ
「うむ、まさしくキングコングは君だった!」と思わざるを得ない
また天本さんの気分次第で重い岩のフタを動かす仕事をする小川安三の絶妙な表情にもご注目いただきたい
また、冒頭にしか出ない北あけみを眺めつつ、上原謙に藤山陽子が出ててなぜ加山雄三がここにいないんだ、これ主人公が加山、助手に江原達怡でももしかして成立する?とか脳内で組み立ててみたり!するのはあまりお勧めはしませんがw
その他の例は挙げるとキリ無いけど、もう冒頭からラストまで、画面中心以外もなめ回すように眺めて、あの顔もいるこの顔もいると確認するのがとても楽しかったです
大画面で4Kだからこそ、以前よりも判別出来てるのも多い気がしたよね

最後に些細な事

午前十時の映画祭の良い所は、冒頭もエンドマーク後もなにかしら新規のクレジットを伴うフォーマットなので、例えば東宝マークが唐突に始まらず音が切れてない(昔の映画上映は頭の音が切れてたりの例)、エンドマークも最後の最後まで堪能して余韻もある(昭和の映画館は幕を閉じ始めたりもある)と言う、じっくり観賞するには恵まれた機会だなぁと改めて思いました
Aグループでの上映は明日からの『海底軍艦』、興味ある方は是非お見逃し無きよう(この記事で興味持てと言うのは甚だ難しい)

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