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長篇小説

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「コーベ・イン・ブルー」(全7話)神戸港を舞台にしたクォーターの青年の愛と葛藤の物語。船会社の代理店から委託業務を引き受ける主人公が警察から殺人を疑われる過程で、ヤクザと渡し合い…
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#荷役

【小説】コーベ・イン・ブルー No.3

    7  港湾専用地区・ライナーバース・PL13。  海にせり出した埠頭の中ほどに建つ、上屋(貨物用倉庫)の二階にあるオフィスからは、ポートピア・ランドの大観覧車が視野に入る。  海人は天井までとどくガラス窓に目を向ける。  眩い。  時間の停まったような陽のきらめきの下に、停滞した海が見晴らせる。 「数日間も、無断欠勤したあげくに、やっと出てきたと思ったら、警察の事情聴取を受けたですって――どういうことなの。シラっとしてないで、キミを担当している、私に、そのムネを断っ

【小説】コーベ・イン・ブルー No.7(最終話)

   13  このビデオは、黄金の葉っぱどころではなく、大木の枝になると、海人は八田組長に言った。 「今頃、ナニ寝呆けたことゆーとんじゃ!」  山野辺は、いきなり海人に殴りかかった。  反撃の体勢をとる前に、手下の石垣が、海人をはがいじめにした。  海人の顔面を、山野辺のこぶしが直撃。  一瞬、目の前が真っ暗になる。 「クソガキが、思い知ったかッ」  山野辺が吐き捨てると、石垣は海人の頭をドアに叩きつけた。  海人はその場にくずおれる。 「これは序の口やと思え。わかったかッ