【小説】コーベ・イン・ブルー No.6
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六甲おろしの吹き荒ぶ港に、春先の生温い浜風がまじり、潮の香りを夕暮れの岸壁に運ぶ。
季節の移り変わりが、人の心から警戒心をゆるめるのか、冒険好きな女の子らは、知り合った外国人の船に遊びにくる。
二人以上のグループだと安全だ思いこみ、船内を案内してもらい、その国の料理までごちそうしてくれるので、たのしいひとときを過ごせると勘違いする。その場合もあるが、異なる場合もある。
キヤップを目深にかぶった服部海人は税関に立ち寄り、出航手続きが完了したむねを報告し、新