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長篇小説

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「コーベ・イン・ブルー」(全7話)神戸港を舞台にしたクォーターの青年の愛と葛藤の物語。船会社の代理店から委託業務を引き受ける主人公が警察から殺人を疑われる過程で、ヤクザと渡し合い…
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2024年6月の記事一覧

南ユダ王国の滅亡 (1/9)

あらすじ  1995年1月17日。高校一年生のミカエルは、捨て子だったため、九歳のとき、病院を経営する弓月家の養女になる。幼い頃よりオタク気質であったため、養父母に馴染めなかった。ミカエルには盗癖があり、同じクラスの美少女、秦野アリスのもち古代の石を盗む。怠惰なこともあり、養父母に叱責されたミカエルは家出を試みるが、養父の父親が戦時中にユダヤ人のラビから譲り受けたという螺子のない時計をもらう。  1つの石が人手によらずに切り出されて、黄金の像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕

南ユダ王国の滅亡(2/9)

あらすじ  一月十七日の深夜、大地震に遭い、ミカエルは井戸に落下。気づくと、飼われて間もない赤犬のルーシーとともに紀元前六世紀のエルサレム近郊に。大魔王の娘だと名乗る赤犬のルーシーは、ミカエルだけに通じる言葉を話し、ミカエル本人は大天使長であり、ルーシー自身はガブリエル天使の名代だと言う。夢の中にいると思っていると、盗賊が現われる。バビロニアと同盟国関係にあるメディア人の主従に救われるが、喪服姿の秦野アリスも現われる。アリスが言うには、養父母は地震で死亡し、ミカエルは死体が見