自転しながら公転する
ぐるぐる考えるループから抜けれない。抜けたと思ったら、またぐるぐる考えてしまう。主人公の都の気持ち、その感覚にとても共感できる小説だった。人はすごく孤独を感じることがあるけれど、どこか遠く、あるいは近くにそんな仲間がいるんだと、それはあなただけじゃないんだと、そんなことを教えてくれる小説だった。
それと意外にも、貫一の気持ちも分からなくはなかった。彼は、いろいろ考えるのが面倒で自分の意見はあまり持たない代わりにその時々に流れて生きている。そこが女と男の感覚の違いなのかなと思った。
自分のことなのに、誰かにどうにかしてもらいたいと思っている、今、私は昔の都と同じ状況に立っている。社会人になって、自分で決めないといけないことがあまりにも多い。ずっと不安なまま決めてきたけれど、その不安は自信にならず、不安なまま私の心に蓄積していった。またぐるぐる考え始めてしまう。自分は結局どうしたいんだろう。でも、それでもきっと、自分の知らないうちに前に進んでいるんだろうな。
地球人の私たちは、みんな、自転しながら公転している。私もその一人。