「#毎週ショートショートnote]命乞いする蜘蛛 (江戸人情話)
誰もが寝静まった丑三つ時 突然なり響く笛の音
「てぇへんだー!蜘蛛がでたぞー!!」バタバタと走り抜ける足音 長屋の連中は にんまりした 今度はどこの貧乏長屋に銭をばら撒いてくれるやら 布団の中で皆手を合わせ 逃げ延びてくれることを祈った
近頃江戸を騒がす 天中殺蜘蛛右衛門は 強きを挫き弱きを助ける 義賊であった
月も陰り辺りに霧が立ち込め こんな夜は 蜘蛛の野郎何処かの大店に入り込むにちげぇねえと踏んだ 岡っ引きの源三は 伊奈川屋に目星を付け陰に潜んでいた
蜘蛛右衛門そうとは知らず 伊奈川屋の天井裏に潜んでいると そこは擦った揉んだの最中であった
伊奈川屋の主 善左衛門が梁に帯をつるし首を吊ろうとするところを 娘 静花と母の清が必死に抑えていた
なんでも 嘘の証文を掴まされ家屋敷を手放すはめになっていた 蜘蛛右衛門盗みに入った先で死人がでては縁起が悪いと 有り金全部置いて立ち去ろうとするところを 岡っ引き源三と鉢合わせしてしまった 縛り挙げようとした瞬間 静花と母清が源三の前に歩み寄りどうかお助けをと命乞いした 「この方は命の恩人 決して賊ではありません」
源三 話の一部始終を聴いていた 義理人情にめっぽう弱かった 追ってがせまり捕り物が始まろうとしたとき源三は叫んだ
「蜘蛛の野郎逃げやがった あっちの川ん中飛び込みやがった」
とっさに出た言葉であった
天中殺蜘蛛右衛門 源三に深く頭を下げ 闇夜へ消えていった。
(了)
あぁ~ 驚異の字数 済みません😭
ほんとはもっと人情話にしたかったんだけど 残念😆 たはらかにさん
いつも温かく受け入れてくださりありがとうございます🙇
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