死んだこともないのに
最近また知り合いから「自殺を考えている」と相談された。あまり詳しくは書けないが、会ったことは無いけど恋人つながりで交流があって、大切に思っているひとだ。ぼくは、どうしていいか分からない。死にたい、もういなくなりたいと、そのような旨のことを誤字がいっぱいの明らかにシラフでは無い文面で伝えてきた恋人に、次会う約束を取り付けて、そこまでは死なないと言ってもらって一安心したこともあった。恋人が電話で「動脈を切った」と連絡してきたら、7119→承諾を得る→119→恋人の家族に連絡という流れを一人で終わらせて、胸を撫で下ろしたこともあった。でも結局恋人は死んでしまった。全部自己満足だったのかもしれないと思う。そもそも、今生きるのが苦しいひとに、具体的な支援を提供してあげられる訳でもないのに、「私があなたに死んで欲しくないから死なないで」なんて正論みたいに言えない。恋人にはそう言ったけど、それは恋愛関係にあったからだ。今はまた違う。仮にそう言ったとしても、そんなのは病的な希死念慮には勝たないだろう。せいぜい、それを打ち明けてくれた信頼を失うだけだ。「死にたいと言われたら」「自殺予防」とかそんなワードで検索したりもしてみたけど、そんなの1周目で通ってるよ、ってことばっかり書いてある。繋がらない電話を勧めないで。相手のことを否定せずに傾聴するなんて人として当たり前に、とっくにやってる。専門家に相談しろって、僕も相手も精神科に通ってる。これ以上どうしろって言うんだよ。ぼくは、僕に関わる人みんな統計学上の人になって欲しくないよ。僕に関わらないひともなって欲しくないけど、「在った」ものが消える瞬間を目撃するのはもう嫌だよ。
どうしたらいいんだろう。共感?ぼくは自殺したいと思ったことはない。いちばん辛かった高三の頃も。消えたいと思ったことはあるし、何となく高校の最上階をふらついたこともあるし、縊死ってどんな感じなんだろうと思ってベルトで限界の少し手前まで首を絞めてみたこともあるけど、持続的な希死念慮に基づいて具体的で確実性のある自殺を計画し、それを行動に起こしたことはない。
まして少し落ち着いた今は、消えたいともあまり思わなくなった。そんな僕が、今苦しい人に向かって何か言ったって、僕が逆の立場だったらあなたは幸せに生きられて良かったですね、としか思わない。
僕にできることなんてないのかな。
でも、誰にも死んで欲しくないんだ、それは本当なんだ。
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