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小学校の運動会を観覧したら今までにない感情が溢れ出た!

次男の小学校の運動会に行ってきました。長男が卒業して初めての運動会です。学年でもリーダー格でいろいろな役割を任されることの多かった長男に対して、3月末生まれでおっとりのんびりしている次男だけなので、昨年まであったような高揚感は少し薄れ、のんびりと観覧する予定でした。そして実際そんなに前の方の観覧スペースまで入ることなくのんびり見ていました。しかし様々な所に工夫が張り巡らされていて感心しました。

まずは開会式。入場行進や長い話はありません。座席で校長先生の話を聞きます。「運動会日和になりました。ちょっとにおいを感じてみてください。これは金木犀の香りですよ。この金木犀はこちらの小学校ができてからずっと見守ってくれた木です。そんな木と同じように皆さんの様子をいつも見守ってくれている人たちがたくさん来ています。そんな地域の人や保護者の人のことに向けて練習の成果を発揮しましょう」1分余りですね。そして選手宣誓があってラジオ体操。10分ほどで競技に移ります。

最初は1,2年生の玉入れ。噂に聞いていた「チェッコリ玉入れ」でした!2年前にポツポツ聞くようになり、昨年くらいから全国の小学校を席巻しているチェッコリ玉入れ。

一言で表すとダンスと玉入れを繰り返す競遊です。
・短時間で2つの要素を取り入れられる
・玉入れでありながら保護者に顔を向ける時間がある
これらの点で「いい種目だな」と感じました。今の小学校の運動会は半日がデフォですから、チェッコリ玉入れが流行るのは必然ですね。私も一度やりたくなりましたw

そこからは1年生~5年生までの徒競走と3年生~5年生の競遊がありました。ややネガティブなことを書くと低学年の走力が落ちているのかな…と。極端に遅い子やバランスを崩してよろける子が増えた印象はあります。また競遊においては「戦略的に戦わない様子」が気になりました。一目見て「こうすれば勝利に近づけるじゃん!」というチーム戦術を取らないんですよね。これは周囲で見ていた保護者も何人か同じようなことを話していました。以前より練習が1/2くらいに減っている影響や、教員が「競わせる」ことへの忌避感から戦術云々を考える時間をあまり取っていないのかなと。

運動会のプログラム

これらの種目の間、ずっと赤白それぞれで応援団の掛け声とともに座席からの応援が続きます。今の子は感心で誰に言われることなくほとんど全ての児童が振付付きで応援を続けます。多分私たちの頃だと5,6年生は「面倒くせぇーな」って感じでやらなかったと思います。「ハイハイ1,2年、まあ頑張れば」みたいなスカした感じがありません。そして座席の後ろに親や祖父母が来ると本当に喜んで近くの友人とポーズを決めます。
また育休中の先生や以前在籍していた先生も見えていました。ここにも歓声が上がるんですよね。そして保護者が「おめでとうございます!」と何十人かで取り囲み、その周りでオシャレをして応援に来た中学生が遠巻きに「赤ちゃん可愛いじゃん!」と話しています。
また担任の先生も大忙しですね。多くの児童に「先生、先生!」と呼ばれています。「僕の水筒カッコいいでしょ」「私は今日の髪型お母さんにやってもらったんだよ」「後ろに来ている小さい二人は双子の妹だよ」こんな話をするために順に呼んでいるからです。

総じて今の小学生たちは非常に人懐っこいのですが、もしかしたら不登校が増えている原因の一つはこの雰囲気にあるのかな?とも感じました。一生懸命応援をして、観覧に来た知り合いの大人には機嫌よく話をして、先生とはちょっとした会話を楽しむ子が多数派です。これらの行為を「しょーもな」と感じてしまったり全く興味が無かったりする子には辛いのかなと。ただ次男の小学校は全国平均と比べると非常に不登校は少ない部類に入るんですよね。長男の卒業式の後は解散がかかった後に一人残らず皆で記念撮影をしたくらいですから。

さて気になっている6年生の競技が迫ってきました。例年彼らも徒競走を最も長い距離で行うのが伝統になっていました。それが今年のプログラムでは「呼ばれて飛び出て走るジャーン」と書かれています。入場と同時にトラックに会議机や平均台が並びました。
放送が入ります。
”6年生はずっと自分たちがやりたい競技を話し合ってきました。そこで決まったのが下級生やお世話になった先生方、地域の皆さんと一緒に走ってゴールしたいという6年生の気持ちでした。会場の皆さん、是非私たちと一緒に走ってくれませんか?よろしくお願いします”
小学校の運動会には珍しい借り物競争。自ずと低学年も保護者も皆が集中します。競技が始まりました。机の上に書いてある紙を選んでいます「眼鏡をかけている子」とか「同じ通学団の下級生」とか書かれている様子。それを見て6年生が座席に駆け寄って声をかけます。何人か手を挙げる低学年の児童。その手を引いてグラウンドに戻り平均台を渡って走っていきます。近くにいた「元サッカー部」のお父様が女子に手を引かれていきました。走るのがやっとのおじいさんも嬉しそうに一生懸命走っていきます。下級生の子たちは自分を選んでくれとアピールをします。後半になると先生が書かれた札が増えたのでしょうか。スポーツマンのK先生は足が速いので人気があります。多くのチームから複数回呼ばれていました。モデルのようなS先生も「お世話になった大好きな先生」のお題で児童と一生懸命走っていきました。BGMの「私は最強」がこの様子にぴったりハマっていました。ごちゃごちゃした展開を実況役の6年生が見事に説明してアドリブで盛り上げます。「まさかうちの子が連れていかれるなんて!」と6年生に選ばれていった3年生の父母が大笑いしながら写真を連射していました。
目の前の5年生のオマセな女子がつぶやきました。
”ヤバくない!6年男子と1年女子とか、6年女子と3年男子とかが手をつないでるんだよ。これって運動会じゃないと絶対できないよね。青春だよね。私は今青春を感じてる。来年私らもやりたいかも”
ほんの数分前まで何も知らなかったペアやトリオが笑顔で一緒に走っていき、そしてゴール後に「ありがとね」とお互いに声を掛け合っている。何て素敵なエモい時間だろうかと感動に浸っておりました。

更に6年生の表現種目が続きます。こちらでは2019年までは組体操をしていました。そうは言っても私たちがしていたような危険な演目は既にありませんでした。しかしそれでも今の基準にそぐわないのでしょうか?コロナ禍に合わせてフラッグや手拭いを振るような演目にこの4年は変わっていました。しかし今年の6年生の装束は今までと大きく違います。こちらも入場に合わせて放送が入りました。
”私たちは踊りも自分たちがやりたいものを話し合ってきました。ソーラン節などの様々な踊りが挙がりました。その中で「全部やればいいじゃん」という考えに至りました。日本全国の踊りを皆様に披露して旅行気分を味わってもらおうと思います”
そして1つ目の「ソーラン節」が始まりました。練習時間はそれほどでもないので同調性はあまりありませんが、ダンスを習っている子が多いのでしょう。個人個人の踊りのキレは素晴らしい子が多いです。続けて「阿波踊り」「花傘音頭」「東京音頭」「郡上踊り春駒」「エイサー」続々と全国各地の祭りが目の前で再現されました。

最後に「ヤー!」と言って拍手が起こった時に、低学年の座席から思わぬ声が聞こえました。「ありがとう6年生!」と何人かの子が声をあげたのです。それにジーンときていたらびっくりする展開が待っていました。法被姿の団長が司令台前のマイクでこう言います。
”まだ何か物足りなくありませんか?最後にみんなで愛知の踊りをしましょう。夏祭りで何度も踊っていますよね。ダンシングヒーロー!”
聞きなれたBGMと共に、ワァと言いながら周囲の座席から下級生たちがグラウンドの真ん中に走っていきます。その後に先生方も。そして半分弱の保護者やギャラリーも。そのまま700人程度の盆踊りが始まりました。私の街は盆踊りが盛んで7,8月に15回ほど盆踊り大会が開かれており、そのトリはダンシングヒーローと決まっています。保育園でも必ず習得しています。ですからほとんどの子が踊れるんですよね。校庭の興奮は最高潮に達しました。

その興奮そのままに最後は選抜リレー。従来はここで自分の子どもが出ない理由で帰る方も多くいたように思いますが、そのまま最後まで観覧する方が多かったように感じました。また一切行進や規律正しい退場は無くなっていますが、選抜リレーだけはピリッと緊張感のある入場や退場、入場曲もWe Will Rock Youで直前の喧騒とは打って変わって勝負の舞台が整えられていました。

閉会式の直前に雨が強くなり閉会式はものの3分で終了。隣のお父様が「何から何まで現在の様式だな。校長の話が無い閉会式なんて初めてだ」と笑っていました。

私が最近noteで書いている内容通り、学校と地域の距離が近いというか同化しているんですよね。ですから小6の子たちに競技や演舞で「やりたいことを決めさせる」と先生や親や地域の方と一体になってやりたいとなるのでしょう。すごくいいことですし、私もその方針には賛成です。ただこの濃い人間関係に入りたくないご家庭やこれを勉強の面に導入してよいのか等の課題もあるように感じました。
でもあの老若男女が手を繋いで一生懸命走っていく光景には感動しました。来年度以降の運動会がより楽しみになりました。

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