学校は意外と世間のニーズを汲んでいる
濃尾平野では先週の金曜日に雪が降った。我が家の周辺も朝6時くらいから降り始め小中学生が通学する頃にピークとなり道路に積もり始めた。9時くらいからはやや弱まったが午前中一杯降り続いた。積雪は3㎝。岐阜のアメダスで10㎝、名古屋のアメダスで1㎝、一宮の中心部で6㎝と報道されていたのでほぼ間違いなさそうである。
温暖化で雪が降る回数もめっきり減り、当地でも積雪は1年に1回あるか無いかくらいになっている。そんな頻度なので当然子どもたちの多くは喜び雪で遊びたがる。ちょうど当日の夕方には4つの小学校の生徒たちがやってきたので聞いてみた。
「学校で雪遊びをした?先生たちは遊ばせてくれた?」と。
3つの小学校では1時間目が「自由に遊んでよい」となったとのことだった。9割くらいの児童がグラウンドに出て雪合戦をしたり雪だるまを作ったりしたとのことだった。教室でゆっくり過ごした児童も当然いたようだ。また残り1つの小学校も長放課(2時間目と3時間目の間にある15分程度の休憩時間)の時間を少し延長して多くの児童が外で雪を戯れたらしい。
この話にはちょっと驚いた。今はイレギュラーな活動はご法度のイメージがあったからである。この辺りは私の住む市の教委は柔軟な印象があるし、多分最終決定している校長たちも現代的な感覚をもっているように感じられる。
「雪が積もったけど学校で遊ばせてもらえなかっただろ。教師たちは杓子定規で頭が固い人たちだからな」という印象とは裏腹に塾生たちは皆が学校で雪遊びを楽しんでいた。
次に長男の部活動である。彼は野球部に所属している。1月6日が2025年の初練習の日だった。軽めの練習で予定より少し早く帰ってきた。
「ブランク明けはどんな練習メニューだったのか?」と訊くと「掃除とトレーニングを融合させたような活動だった」と長男は答えた。年末に大掃除をしたがまだ終わっていない所があったらしい。走ったり力仕事をしたりしながら掃除もできるようなメニューを顧問の先生が考えたとのことだった。
さらに11日の土曜日は上述の雪の翌日だったために朝から非常に冷え込んだ。この日の午前の練習はサッカーだったらしい。「野球は止まっている時間が長い競技だから寒い今日はたくさん動こう。それにはサッカーが適している。野球とは違う実力関係や協力、工夫が大切になる」と指示があって、本当にサッカー部のようなメニューだったようだ。最後は試合を数十分して「相手チームのゴールを2点くらい摘み取ってやった!」とディフェンスラインの真ん中を任された長男はドヤ顔だった。
こんな意見が散見される。
「日本の部活動は1つの競技しか行わないからダメだ。海外では季節ごとに違う競技をするのでバランスよく体が鍛えられ視野も広がる」と。
しかしこんな感じで部活動の現場は柔軟に活動しているように見える。また同じ日に野球のクラブチームに所属している生徒は山に登ったらしい。北の方の山並みに雪が架かりとても美しい景色が見られたと喜んでいた。
最後にネットで時々ある偏った意見を
「今の時代、小学校は午前中で給食を食べて下校で良いのではないか?午後まではとても集中力が続かないだろう。午後はできない子の補習で良いのではないか?」
これだけ学童や児童クラブに所属する児童が増える時代に何て暴論をと個人的には嫌な気持ちになるが、時々こんな意見がバズる。
しかし昨日小学校の授業ボランティアに行った時に興味深いことに気が付いた。
時間割表を見た時に「なるほど」と感じたのだ。そのクラスの午後の授業は以下の通りだった。
月…道徳、学活
火…ときめき(探究)、クラブ
水…国語、体育
木…自己調整タイム(児童が自分で勉強する内容や場所を決められる)
金…図工、図工
こんな感じで国語や算数、理科や社会、外国語はほぼ午前中にかためられていた。特に算数や理科は1,2時間目に多く並んでいた。他のクラスは廊下を移動する際に一瞬しか見られなかったが、やはり同じような傾向が見られた。多分児童たちの疲労度や理解度を考慮しての時間割組みだろう。後はもしかしたら本当に体力的や気力的な問題で午前中の登校が精いっぱいの子もいるのかもしれない。そんな児童にも配慮されているのだろうと考えた。ただ私の担当した2つのクラスは全員が出席だったことも明記しておく。
あくまでも私の住む市内の小中学校の事例であり「うちはそんな配慮は無い!」と仰る方もいるかもしれない。しかし私が観測する範囲の小中学校は柔軟に子どもたちのことを考えているように見える。今の時代は何かと学校の「機能不全」が語られるが、現場では素晴らしい経験やかけがえのない時間が送られているように感じるのだ。