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【詩】しあわせについて

しあわせですか
と問いかけられて

なぜ
こんなにも
涙が溢れるのか

忘れていた
とても大事なことを
忘れていた

しあわせであることは
祈りであることを

しあわせになることは
あなたから託された
願いであることを

もう届かない想いの距離に
反比例するように
心の中でのあなたの存在は
距離を縮め
いつも傍にあるというのに

しあわせのぬくもりは
わたしから
手放してしまい

しあわせの感覚は
道のどこかに置き忘れ

しあわせの感受性は
擦り減ってしまい

気にも留めていないかのように
微笑むことが
常となり

ほんとはどうしたいの?
ほんとにそれでいいの?
あなたの口癖は
遠い時空で空回りしたまま

しあわせを似合わせる術を
手にしていた

あなたに会うことがあるのなら

わたしがしあわせであることを
あなたに感じてもらうのが
わたしの願いだった

あなたがしあわせであることを
わたしが感じることが
わたしの祈りだった

今夜の月は
おぼろげに
微睡まどろむような光を湛え

涙の跡を
そっと
撫でる





先日、何十年かぶりに、さだまさしさんの「しあわせについて」を聴く機会があった。
高校生の時の、詩のポケットの彼を思い起こさせる曲。
 
聴いた途端、涙があふれた。
思い出したことがあった。

あれから遠く離れてしまったけど、
今のそのままを受け入れていく。

月がいつになく優しい光を
投げかけているように思えた。












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