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ゲンロン総会2024
三月のことであった。
私は大阪の人間である。そして、職場から大阪駅に向かう途中、梅田新道という交差点を通る。ここから東京の日本橋まで、国道1号線が走っている。国道1号線の反対側に近い五反田には、今回のゲンロン友の会第14期総会「人間拡張」第1部の舞台となった五反田TOCビルも鎮座している。
法律事務所の移籍を間近に控えた2024年3月30日、私は移籍先事務所の代表弁護士から告げられた「行かないで後悔するなら行った方がいいよ」という言葉に押され、移籍作業を放り出して五反田に向かった。徹夜作業を終えて事務所から始発電車で自宅に戻ったのは午前7時、そこから着替えて新大阪に向かい、新幹線に飛び乗った。
チケットは3月29日にオンラインで購入していたので、弾き出されることはないだろうという安心感とともに新幹線で惰眠をむさぼった。
新幹線が着いた品川駅から五反田駅は近い。驚くほど近い。山手線を数駅乗って、五反田駅から少し歩けば、ゲンロン民シラス民の聖地であるGenronCafeがあり、私も閉まっているGenronCafeの写真を撮ってからTOCビルに向かった。
おお、ちゃんとしたイベント感が凄い。入口動線にノボリが立てられていたし、受付もちゃんとしている。院生チームの方々が受付をやっている。というかどこかで見たことのある人たちばかりだ。
そして東浩紀氏がいる。
いやあ実在するのか。
初めて生あずまんを見た日である。感慨深い。
桂大介氏を巻き込み、上田洋子先生を巻き込み、そのほか様々な人を巻き込んで突き進む巨人がここにいるのか。
一度酒を贈呈していたことを覚えていてくださった。ありがたし。
突発で見ていた深夜の攻撃性の塊の様な方ではなく、ちゃんとした方だった。
上田社長とお話しする機会はなかったが、大天才清水亮先生とは少しお話しできた。
名刺をお渡しして自己紹介すると「俺弁護士嫌いなんだよね」とのこと。ごめんなさい。
(後日、東先生にそのことをお話ししたら笑いながら「ああ、アイツは初手でカマす奴なんだよ笑」と仰っておられたので、多分嫌われたわけではないだろう。でもちっと凹んだ。
AIと13次元について少し質問させてもらった。今のAIで人が求めていることをわざわざ13次元で説明する必要はあるのか?という問いを投げたところ、AIの能力を十分に引き出すためにそれくらいの数学的操作が必要だ!という趣旨の回答をいただいた。生成AIには夢があるのだなあと思うが、私は行列や微分積分からやり直さねばならぬ位には数学を忘れている。
多分これからもノリとテンションで生成AIとお付き合いすることになるだろう。私の子供はちゃんと数学的知見をもってAIの時代を生きてほしいものだ。
そして、そのほか、会場には「この人見たことある!」と言う人がいっぱいいた。
ゲンロン社のスタッフである。というかこれだけしかいないの?これだけでこのイベントぶん回しているの?
私も各種イベントの手伝いをしたことはあるが、ブースが複数になるとイベントはとても大変になる。管理者が一目でわからなくなるからだ。そして今回は三ブース。しかも生放送配信付き。
「よーーーやるなあ」と言うのが第一印象である。
フリマも開かれていて、皆様諸々のものを販売しておられる。冒頭の写真も出展者の方の作品である。
私は仕事としては弁護士オンリーの人生であるから、マテリアルな物を作るという作業をしていない。キングファイル3個分の訴訟ならやったことはあるが、所詮は紙の束である。こういう時には、物に触れる仕事が少し羨ましくなる。
各ブースを回って諸々を買い込んでいて、荷物でヘロヘロになっているとまた清水亮先生と目が合った。「それどうするの?」と。「いやあ、大阪までどーやってもって帰ろうかと」
「そういうのは配達で送るんだよ!コミケじゃ常識だよ?!」とのこと。
いやあコミケ行ったことないのよ私。
とはいえ、アドバイスには従うものである。コンビニでなんとか送ったら、とても肩が軽くなった。ありがとうヤマト。ありがとうコンビニエンスストア。流石は便利な店というだけはある。
日本の配送業に感謝して戻ってから、東浩紀×清水亮×川上量生の対談を聞く。なんと隣に座ったのがグルコースの安達真さんだった。遠くには桂大介さんもいた。なんじゃこりゃ。すげーやつしかいないやん。
対談もとても楽しかったし面白かったのだが、それは本になっているようなのでここでは伏せる。
とにかく関東に住んでいたら毎回参加一択だろうが、私は二次会に行く暇はなく新幹線で帰宅した。
年に一回のお祭りだろうが、とても良かった。
来年も行きたいが、妻の決裁がおりないので配信を楽しみにしている。
追記
会場となった五反田TOCビルは2024年3月で閉館及び取り壊しという情報があったが、総会の後に閉館延期のニュースがあった。ウクライナやらの戦争が終わって資材価格が落ちるまで延期ということなのか、立ち退きが奏功しなかったのかは不明だが、あの感慨はなんだったのか。。。世界は不思議である。