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恋水 〜 18年前の読書メモ


映画を観終わり 本屋で立ち読みをする

[恋水]

恋をして 流す涙のことをいうそうだ

帰宅して 疲れた目に目薬をさした

不意に記憶が甦った
彼の部屋で目薬をさした事がある

「ものもらいみたいなの」

そういうあたしに 小さな目薬を 手渡してくれた
上手に点眼できず ぽたぽた零れた

「細菌がついてしまったら もう 使えなくなるやん」

と、
冷たい言葉を向けられる

そう 意地悪なやつだった
いつもいつも 愛想がなく

ぶっきらぼうで 愛されているなんて
実感できるどこじゃなかった

ほんと アイツらしいな


相変わらず 不器用なあたしの頬に
ぽたぽた はみ出た目薬が 伝う

それは ひんやりとしていて
どこか 冷たい


記憶
こんな風に 思い出してしまうもの

にせものの涙は 本物の涙

あたしの眼から
忘れてはいない 彼のしずくが 零れ落ちていた


***


立ち読みしたのは



だったと
記憶している

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