人生最大の危機に陥った話8
医者から簡単な質問を受ける母
まず名前と生年月日年齢を聞かれた
これは難なくクリア
Dr.「今日が何月何日かわかりますか?」
母「今日?何日だっけ?」
まぁこれは普通の人でもよくある事
Dr.「じゃあ何曜日かわかりますか?」
母「曜日…?分からん」
Dr.「季節はわかりますか?」
母「夏…?春かな…春だっけ?」
と、私に同意を求める(本当は冬真っ只中)
Dr.「100から順に7を引いていってください」
母「えーと93…それから…なんだっけ?」
私の顔を見てヘラヘラと誤魔化しながら
思いつくまま適当に数字を羅列する母
目茶苦茶である…
簡単なイラスト(ハサミやクシなど)
をいくつか見て覚えた後に絵を隠し
何があったか答える検査
ひとつくらい正解していたような覚えあり
季節の質問辺りから雲行きが怪しくなり
画像検査では明らかな脳の萎縮が確認された
診断は『アルツハイマー型認知症』
あぁやっぱりか
疑いが確信に変わった瞬間だった
帰宅後、妹に結果報告をし今後の事を相談
相談というか、私も超・体調不良な上に
経済的にも限界が来ていたので答えは一つ
私が実家に戻って介護する事になった
ここまでを簡単にまとめると
①離婚後実家に戻る
②両親から、出戻りと暮らすのは
世間体が悪いから出て行けと言われる
③一人暮らし開始
(マガジン-深海の記憶-
「初めて一人暮らしをした時の話」参照)
④父が亡くなる
(マガジン-深海の記憶-「父への思い」参照)
⑤母に寂しいから帰ってこいと要求される
⑥何を今更と拒否する私
⑦母、寂しさから血迷って家出→行方不明
⑧警察に捜索願い提出
⑨母の兄妹が母を隠していたことが発覚
⑩母の兄妹とバトル勃発
(マガジン-深海の記憶-「追い詰められた話」参照)
⑪うつ病発症→退職・経済的困難
⑪母認知症発症
⑬“介護”を免罪符に実家に帰還
この間約10年
経緯を振り返ると我ながら茶番でしかないと思う
実家に戻って早々頭を抱えたのは
翌年の町内会理事の当番が回ってきた事だ
うつ病・過呼吸・片頭痛で日常的に
ぶっ倒れている私が母の介護をしながら
会合に出席して町内会の行事に携わるのは
周囲に迷惑をかけるしどう考えても困難だった
仕方がないので障害者手帳を見せ
正直に次の理事を受けるのは無理だと伝えた
理事さんから
「免除する事はできるが組の皆に理由を話し
承認を得なくてはいけないが良いか」と言われた
ご近所の皆さんに
「私うつでぇす!理事はムリでぇす!」と
宣言しなくてはいけないという事らしいが
良いも悪いも無理なんだからしょうがない
条件を飲んで免除してもらった
地域の皆で支え合って暮らすのは
大事な事だと重々承知しているが
本当に人間社会は面倒だなと思った
▶人生最大の危機に陥った話9 へ続く
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