しあわせのカタチ。
『幸せのカタチは人それぞれだからね。』
これは、アパレルとして働いていたときに尊敬する先輩が呟いた言葉だ。
私は、20代にこの言葉を聞いた。
いい言葉だな。と思いながらも、その時はしっくりこなかった。
我が家は、4歳・0歳の息子たちとの4人暮らし。
毎朝旦那は、5時半過ぎには仕事に出掛けていく。
帰宅時間は日によるが、夜に間に合わなければ子どもたちに会わずに1日が終わり、また仕事に行く日々。
いわゆる、ワンオペ育児。
子どもたちのことはとても可愛がっていてくれており、休日は子どもたちのことに尽くしてくれているけれど、子どもと過ごす時間は少ないのかもしれない。
仕事だから。と夫婦で割り切っていたが、そんな旦那が今回の2人目くんの出産で、初めてとなる育休を2ヶ月ほどとることになった。
理由は主に、
・上の子が保育園に通っているため、里帰りはせずに家を起点に生活したい
・習い事の送迎
・産後の体力を少しでも回復させたい
・上の子のケア
といった所だった。
今回は帝王切開での出産となり、1人目を自然分娩で出産していた私にとっても未知の世界だったが、
いざ出産すると術後の傷と後陣痛。おまけに咳が出てしまい、産後は想像を絶するものだった。
無事に生まれてきてくれた喜びと、本当に出産は命懸けだ。と心から思った。
なんとか歩けるようになり、みんなで行こうか。と保育園まで送りに行った日。
『あれ…家族4人で歩いている。』
ふと、手を繋いで歩いていた上の子をふと見ると、下を向いてスタスタと歩いている。よく見ると、笑っていたのだ。そして旦那は、産まれたばかりの息子を大事そうに両手で抱えていた。
しあわせだ。
その瞬間、ポロリと涙が出そうになったのをぐっとこらえた。
1人目の時は、2ヶ月半ほど近くの実家に里帰り。
旦那は、仕事が終わってから夜駆けつけてくれていた。
今回は、我が家での日々。
上の子を送ると、3人での時間が流れる。
育児に追われながらも、スヤーっと気持ちよさそうに旦那の腕で昼寝をする我が子の姿があった。
まるで宝物を抱えるようにして、我が子を見つめながら旦那がポツリと呟いた。
『(上の子の時も)もっと見たかったな。』
とっさに、『ね…。』としか返せなかった。けれど、お互いに感じるものがあった。
写真もたくさん撮った。
上の子が保育園から帰ってくると、パパがいる。
これでもか、と思うくらい遊んだ。
いつの間にか上の息子は、
『パパ!』とママのことを呼び間違えるようになった。
時間はもとには戻せないけれど、今この瞬間が幸せだと感じた。
あっという間に2ヶ月が過ぎ、育休最後の日に旦那が言った。
『育休取って良かった。』
『ね…。』と私はまた言った。
それから旦那は、5時に家に出て行くようになった。
少しでも早く、家に帰って我が子に会うために。
上の子が笑っている。幸せだ。
30になった今なら分かる。
幸せのカタチは人それぞれだ。
そして、こんな経験をさせてくれた息子たちに伝えたい。
産まれてきてくれて、ありがとう。だいすぎだよ。と。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?