【詩】死神が僕の隣に座った
夜を眺めていると、死神と出会った
骸骨に、三日月の鎌
絵本通りの姿をした”死”が僕の隣に座って、話しかけてくる。
『なにをしている? かぜをひくぞ』
「待ってるんだ」
『なにを?』
「流れ星」
『ながれぼし…?』
「そっ、流れ星は願いを叶えてくれるんだ」
『そんなのうそだ。それよりいえにかえれ」
「なんで?」
『よるのそとはきけんだから』
「それって、家となにがちがうの?」
『…………』
「…………」
『………あと、7かでおまえのいのちをもらう』
「それは1か月前に聞いたよ。ほんとうにがっかりだ。君に初めて会った喜びを返してほしいよ」
『………こんどはほんとうだ』
「むりだよ、君は絵本のように優しい死神。君にお願いするのはもう諦めた。だからね―――」
僕は空を眺める。
死神は僕を見つめている。
死神に顔はない。
だから感情は見えない。
僕に顔はある。
だけど感情は壊れている。
「お星さまにお願いするんだ」
僅かな星の光が、闇を払って僕の痣を照らした