桜が咲いたら 君とのお別れ 桜を握りつぶせば 春も消えるだろうか
崩れ落ちた両膝 あなたの体はさらに丸まり キラキラした涙が頬を転がる 星は光るだけ 夜は美しいだけ あなたは泣いてるだけ ただそれだけのこと この世界で一人ぼっちのあなた 悲しい時こそ人は孤独になる 友達だってもうどこにもいないよ 家族の顔も忘れさった 誰も感じない 誰もわからない 感じるのは自分だけ わかるのは自分だけ この心の痛みをわかるのは自分だけ だから思いっきり泣いた後は 自分で歩き出しなさい へたな歩き方を 他人に笑われてもど
眠れない 眠れない 夜には寝れず、朝にも寝れず 吐いた熱息 くらくら 布団の重みに耐えれず、外へ出れば 空は紫色 建物はぐにゃぐにゃ 人は黒いテルテル坊主 不思議で狂った風景 夢か現か? 痛みすら信じれぬ世界で それを確かめるすべもなし 家から出てきたテルテル坊主が 傷だらけの私の手首を掴む 何かを叫んでいるが、 私とあなたは別の人種 理解できないわ テルテル坊主を突き飛ばして 裸足で、アスファルトを走る どこまでも どこまでも 私ってこんなに自由なんだ
んぐらぁっ、 叫びたくなる今宵 わらわら伸びる影の喝采 欠伸一つで目玉がカラカラ、傑作 もう 逝かれそうで 碌な思考もできなくて 大きな満月のかける催眠が私を くるくるらっらっ あぁ、もうっ、 すべてがぐちゃぐちゃになって 夜の闇を素手で喰らう ふわふわもぐもぐ 闇の味 机なぎ倒し、顔から落ちる階段 痛みはなく心地よい 血が飛び出て 体は軽くて 燃えるような頭は冷たくて 一人で狂う夜は楽しくて これがなきゃ、生きていけないな 光がくるまで、私の邪魔をしないで
マンホールの蓋があいていた つまり道の真ん中に綺麗な穴があいている 住宅街の道路に、ぽっかりと ぽっつりと 「…………」 覗いてみた 見えたのは闇だった 先の見えない深淵だった なんかこわい 音なんてないが、もし聞こえるのなら ご ご ご というのが、ふさわしいほどには、何かいそうだ ……何かいるのか? よく見れば、赤い丸が2つ、闇で光っている ビー玉のような球体がギラギラと眼のように あれはなに? もう少し、覗けばいけるか? 幸いにも僕は潔癖症ではない も
投げたナイフ 飛んでった 光の速さ? いや、電子の速さ 加速していくナイフ 何百万にも増えて あの娘の心臓貫いた ぐちゃぐちゃ ナイフに塗りたくった 毒が心を蝕む どくどく しんぞう こどくこどく こころ 痛みに狂うあの娘は 誰にも話せずに”楽”になった お悔やみ申し上げます 顔も知らないあなた様 スマホを触る私は 愉悦
大きなトラックが地面を揺らす 音は気にならなかったが、振動がダメだった 地面から家、そして2階の僕の部屋にまで響いた ゆっくりと目を開ければ、光のない夜 スマートフォンを触れば、充電切れ 不思議と照明をつけるのが億劫になり、光を求めて外に飛び出した 光のない街 月のない空 都会とまでは言えないが、駅もコンビニも、若者もいる街なのに 今夜は、人も光もない まるで無人の街 「ちょっと歩いてみよう」 そう思わせる夜だった 光のない街を歩く 人間の適応力とは素晴らしい
少年時代 ランドセルを”ぱかぱか”して、歩いていたあの頃 すべてが大きくて 歩きにくい街だったから 未熟な足は何度も躓いて転んだ 痛いのは、日常で 絆創膏は、親友だった 暗くなるまで、遊んだ 飽きるという言葉は辞書になかった 夕焼けの空 まるで映画館で見るような薄い影が町を覆う 今日も終わり そんな夜の帳をかき消す音が響く 『祭囃子と人の声』 幽霊商店街に人々が集まる シャッターばかりの道に屋台が並び、提灯が燈る かき氷 チョコバナナ 金魚すくい 射的 綿菓子
アスファルト焦げる住宅街で 奇妙な声を聴いた それは高い音だが、不快感はなく どこか涼しい風を運んでくれた 僕は少し辺りを見渡してから歩こうとするけど、 また足を止めてしまった 波の音がする 地球の揺り篭にゆられた水の音がする それは空から響いた ぽつ ぽつ ぽつ という雨音が 僕の目線をうえへと誘う 不思議な声と波の音が だんだん大きくなる そして僕の瞳に映ったのは――― 蒼い海を泳ぐ白鯨だった 鯨の起こした水飛沫が、空から僕らへと落ちていく 蝉の鳴く夏に
太陽の吐息残る 夏の夜 むしむし 暑くて くらくら 思わず飛び起きれば 体から出ちゃった わたし 幽霊 スケルトンハンド スカスカ 骨も皮膚もなくて 血の代わりに流れるのは 淡く美しい天の川 クラゲのように キラキラ フワフワ 屋根を透けて 夜空へ 辿り着いた空は 深海 都会の夜空じゃ 星は見えない 街の方がギラギラと輝いているから だけど今夜だけは――― 幽霊少女の宿す星々が 夜と共鳴し、光が脈動する なにかが変わる音がした 01時16分 それは美しい奇
夜風に吹かれて香る 祭囃子 寂れた境内 今宵は百花繚乱 猫も杓子も妖も うねり歩く夏の日 ほら、猫のしっぽも二又さ ネオンのように妖しく灯る提灯の 照らす石畳を歩く少女 あたりをきょろきょろしていれば お面を被った金魚屋さん 猫の手のように招いている 水槽を舞うように泳ぐ金魚たち 彗星のように赤くキラキラ 気づけば ため息が零れる 少女の眼はキラキラ 裾を命一杯引き上げて 小銭を渡して、店主から武器を拝借 キラキラ泳ぐ金魚 キラキラ見つめる少女 祭囃子も聞こ
泣き方を忘れた今日この頃 心が握り潰されるのを感じながら 海を歩く クラゲは何を考えて生きているのだろうか?
唐突な話だが、"時間" という概念に文句を言いたい クレームを言ってやりたい もっと遅くしてくれ―――と というのも もっと寝たいし がっと遊びたいし ぼーっと生きたいのだ なのに ”こいつ” ときたら、早すぎる 一番立派そうな時計に文句を言ってやる しかしこいつはチクタクと答えやがった どうやら聞く耳を持っていないらしい だから ゆえに よって 時計の針を折ってやった 煙草の香る喫茶店で、”ぽきっ” という素晴らしい音が響く 小さい音がここまで耳に響くのは、
飛び交う電波に 流れる電子音 情報は高速に 娯楽は広範囲に 伝達する 電灯が太陽を生み出し、夜を喰らう 信号機の色が 人々の動きを管理する ここは科学の国 未知を拒絶する規律の世界 人の形をした神は科学にコピーされ 0と1で構成された人工知能が微笑む 『合理的な社会こそが―――正しい選択です。その先に青い未来はあります』 すべての人類が頷くと同時に、神の姿は消えていく。 体が泥となり、溶けて消えていく 手を伸ばした しかし誰も気づかない 誰も信じない ここは科学
夜を眺めていると、死神と出会った 骸骨に、三日月の鎌 絵本通りの姿をした”死”が僕の隣に座って、話しかけてくる。 『なにをしている? かぜをひくぞ』 「待ってるんだ」 『なにを?』 「流れ星」 『ながれぼし…?』 「そっ、流れ星は願いを叶えてくれるんだ」 『そんなのうそだ。それよりいえにかえれ」 「なんで?」 『よるのそとはきけんだから』 「それって、家となにがちがうの?」 『…………』 「…………」 『………あと、7かでおまえのいのちをもらう』
真夜中の学校の屋上 壊したスマホを握りしめて 人生を傍観する少女 あぁ、見れば見るほど 嘘 嘘 嘘 あぁ、思えば思うほど 虚 虚 虚 鏡花水月 なにひとつ掴めやしない こんなに愛しているのに 世界は ひどすぎるでありんすぜ ケラケラ笑いがとまらない ゲラゲラ嗤いがやめられない 生きるってこんなに辛かったんだね 本当に私は幸せ者でした 泡沫のように、おやすみなさい