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霊の話 16 生まれ変わる者たち

昔、私は雷魚を飼っていました。

雷魚といっても、奇形種なのかなんなのかとてもかわいいお顔。
東日本JRのスイカペンギンのような顔をしていました。

そして、飼うきっかけになったのは、少しだけ普通の魚よりも知能があるようで感情があり、人を認識してひれを振るのを目撃したことからでした。

その子の喜びが伝わってくるのです。

雷魚はそもそも人慣れする魚らしいのですが、店員さんがやってきて声をかけると、ひれを振って返事をしているようにも見えます。店員さんも可愛いのか、しばらく雷魚と遊ぶ時間をとっていて、仲が良さそうでした。
雷魚も、餌をくれる人とだけ認識しているわけではないようです。

お魚にしては可愛すぎ。

そんな感じで、ホームセンターの観賞魚売り場で、店員と戯れていたのを見て惚れてしまったのでした。一ヶ月通い続け、売れてしまったらあきらめようと見ていたのですが、雷魚は成長すると1m以上になるのでなかなか売れません。もどかしい一月でしたが、とうとうある日、私は衝動にかられその雷魚を飼ってしまうのでした。

雷魚は次第に私を飼い主と認識し、やっぱり知能が高いのかとても仲良くなりました。友人がたまに遊びに来て雷魚を見ると、雷魚は大喜びします。私の友人にもサービス精神旺盛で、かまってもらえて大興奮しているのは普通の人の目にもわかるほど感情の起伏が認識できるお魚でした。

ただ、お魚なので出かける時に連れていくことはできません。
抱っこもできません。

私が仕事で宿泊の研修や旅行などに行く時は知能が高い分、準備しているだけでわかっているようでした。そしてちょっとした感情があるので、とてもさみしいという気持ちが伝わってきていました。

ごめんねーと私が言うと、私の気持ちも理解してくれて、尾ひれをふりふりしてくれる何とも不思議な雷魚でした。


その雷魚と四年ほど過ごしたある日のこと。

雷魚は夜中に水槽から飛び出したのか、朝方床に落ちていて虫の息になっていました。

私はだいぶ大きくなっていた雷魚を慌てて水槽に戻しましたが、雷魚は元気を取り戻さず、しばらく弱りながらも生きていてくれましたが、数日後に亡くなりました。

その雷魚は実家の庭先に丁寧に埋めてさせてもらいました。
雷魚が天に還るとき、

また生まれ変わっても私のもとにおいでー。
次は、一緒にお出かけできる動物になってくれれば
たくさん抱っこしてあげるよー。

と、そう伝えてお別れをしたのでした。とても天気のいい日だったことを覚えています。



そうして2年後、私のもとにはとても小さなチワワがやってきます。
子どもが生まれる前に、どうしてもわんこと子どもを一緒に子供を育てたくなり、衝動的にネットでピンとくる子を探し出しました。

そしてはるばる富山県のブリーダーさんのもとへ行き、小さな両親から生まれた、5匹兄妹の一番小さな末っ子の女の子チワワと出会います。顔もかわいく、何をするにもワンテンポ遅れている子で、すぐにこの子にしようと決めました。

チワワとともに過ごし始めたある日のこと、

毎日お散歩して抱っこして話しかけ、多少知性も芽生えて心で会話もできるようになった頃、ふと私はチワワから不思議な感覚を感じました。

以前、感じた事のある感覚です。

チワワの心の奥にある雰囲気に、なんとなく知っている感覚があるのです。このチワワはもしかして雷魚の生まれ変わりかもと思いました。雷魚とチワワの性格は全く違います。魚の面影なんて見当たりません。でもなぜかそう感じました。

そして私は自分の霊的ガイドに尋ねることにしたのですが、やはりチワワは雷魚の生まれ変わりとの事でした。

私は実は、時間を超えて会いに来てくれたとか、この人ソウルメイトだわ的なファンタジー系スピリチュアルが比較的苦手なので何度も聞き直しましたが、何度聞いても答えは生まれ変わりなのだそうです。

そして本来、ペットは同じ飼い主と二度出会うという事はほぼないのですが、実は、雷魚時代の亡くなり方は私の仕事が絡む霊的事故が関係していた事もあり、私とともに過ごす時間が満了していなかったのでした。なので、また生まれてやってきてくれたという事なのです。

最初から聞いておけばよかったと思いましたが、本当に転生してくれるとは思っていなかったので意識が全く向いていなかったのです。

本当に来てくれたんだと少し驚きました。
そして、ガイドの話では、水生生物の知性では少しの思考と少しの感情しか学べません。脳のサイズが小さいので物理的に限界があります。

なので、私と約束した『一緒にお出掛けできてだっこしてもらえる動物』になるには2年という時間が必要で、魚の知能から哺乳類になれるようになるには、それだけの時間をかけても魂や知性、感情の成熟度合いの問題があり、チワワという小さな犬種が限界だったという事でした。

それでも、とても頑張ってやってきてくれてのでした。

小さいおかげで色々なところに連れていきます。こうして仕事をしている時は膝の上にいます。

さみしがりなので家に置いていくことはほとんどなく、出かける時はだいたい一緒か、わんこがなついている人に預けるようにしています。

きっと、そのさみしがりも、雷魚時代の私の出張や旅行のせいのような気もします。きっと雷魚も願ったのだと思います。

『一緒にお出かけしたい。一緒にいたい。』

という感じで。
なぜなら人も動物も、今世で得られなかった切望するほどの想いは次の転生ではだいたい叶えられることが多いのです。もちろん、それは進化の原動力として作用するものに限りますけれど。

私も、抱っこしてあげるからまたおいでとそう最後に伝えた事を思い出しました。

雷魚は夢を叶え、私とお別れした時の約束を果たし、
今は毎日抱っこされながらまったり幸せそうに生きています(^-^)。


続く。

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