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空気階段第6回単独公演「無修正」
シンクロニシティのラジオで「単独ライブで一番かっこいいのは、最後のネタでそれまでやったネタを全部回収するみたいな演出」と話していて、空気階段の単独だ…!と思った。
今年もそんな一番かっこいいお笑いの単独ライブに行きました。
今年の単独のタイトル「無修正」って言葉は、空気階段にぴったりな単語だなと思った。
真っ白な修正ペンで塗りつぶしてるけど、ちょっと削れて元の字が見えちゃってるみたいな不器用さ・赤裸々さは、ラジオで包み隠さず人生の話をする空気階段の2人の姿らしいし、今回はそういう「人の心のモザイクの下」みたいなコントが多かった気がする。
特に笑ったのは1本目『潮騒』だったかもしれない。陰謀論って雑で乱暴であればあるほど面白いし、空気階段の手によってさらにファンタジー感が増してめちゃくちゃ面白かった。小室ファミリーを憎む演歌歌手の本名が「こむろむろてつやてつ」っていう、小学生が考えたみたいなネーミングセンスなのもアホすぎて大爆笑した。
空気階段らしくて好きだなあと思ったのは『2月3日』と『ponpoko、オフ会に行く』。
もぐらさんの演じる「どうしょうもねーし小汚いのになんかほっとけない可愛さ」のあるキャラクターと、「なんだかんだほっとかずに最後まで面倒見る役」のかたまりさんがたまらなく好きだし、真骨頂だなと思う。
今回、グッズが古谷実の描き下ろしデザインなのもあって、コント中にすごく古谷実作品を彷彿とさせる瞬間が多かった。特にそう感じたネタを「空気階段らしいコント」と思えるところが、わたしが空気階段を大好きな理由かもしれないと改めて思った。(グッズの発表があったときのもぐらさんも「私の脳内には古谷作品のエキスが入っています」と言っていて激しく納得した。)
最後の「無修正」はやっぱり素敵で、期待を裏切らなすぎて感動した。「anna」「fart」を見てきて、空気階段の作る世界観の"自分の弱さから逃げない本当の強さだけが奇跡に触れられると信じているピュアさ"が本当に好きだなと思う。
自分たちの人生を電波に乗せて、恥ずかしいことも弱いところもさらけ出してコントに昇華する空気階段は、ある意味めちゃくちゃ無骨で血まみれのクリエイターだし、だからこそああいう本当の意味での"優しい"コントができるんだろうなあ。
基本的にオタク活動をしていて、ライブやイベントが終わると「もう終わっちゃう、悲しい」と思う派だけど、空気階段の単独終わりは、人間の何気ない言動や行動にも愛を感じるような気がして、「なんか明日からも頑張ってみようかな」と思える。
励まされるとか、悩みが解決するとかではないけど、弱っちい人間からの最大限の愛をたくさん感じるような、柔らかくて強いお笑いだなあと思う。
来年も、楽しみだなあ。