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ヘビの餌:偏食性のナミヘビの餌1

1.小型の爬虫類を食べるヘビ

ヘビの中にはヤモリや各種スキンク、カナヘビなど小型の爬虫類に餌の嗜好が偏った種がいます。
これらのヘビは比較的絶食に強く、1度の給餌機会で必要な餌の量も少ないことから比較的飼育管理の手間がかからないヘビだといえるでしょう。

また、性格こそ比較的臆病な種、個体が多いものの、健康面の心配は少ない印象です。すなわち原因が定かでない拒食や、眼に見える疾病はほとんど見たことがありません。

餌の入手についても、特に温かい時期にはヤモリやニホントカゲ、カナヘビなどは野外で捕獲したものを与えることができますので、実質的には餌代はほぼかかりません。
*ヤモリ、ニホントカゲ、カナヘビの探索、捕獲にはそれぞれに少しコツが要りますので、改めてご紹介します。

なお、冷凍・解凍した餌を食べないというヘビもこれまでに見たことはありませんので、温かい時期にある程度の数を捕獲してストックしておけば、寒い時期にスポット的に餌を求めてはい出てきたときにも対応ができるでしょう。

ちなみにスキンクに嗜好が偏ったヘビではカナヘビやヤモリは食べず、ヤモリに嗜好が偏ったヘビは(カナヘビは食べることがあるものの)スキンクは食べないことが多いようです。
この辺りの餌の嗜好には若干、個体差があるようですので実際の飼育の中で彼、あるいは彼女の好みを知ることが必要となります。

2.ミミズを食べるヘビ

ミミズは非常に優秀な餌動物です。稀に ”ミミズを食べるヘビは飼いにくい” などという情報が見られますが、実際に飼育してみるとこれは明らかな誤情報だということがわかります。

ミミズはヘビの嗜好性が高く(ミミズに嗜好が偏った一部のヘビに加え、先日ご紹介した雑食性のナミヘビのほとんどの種・個体がミミズも食べてくれます)、ポイントを押さえさえすれば管理が楽でどんどん増えてゆきます。
したがって、ミミズに嗜好が寄ったヘビは小型爬虫類を食べるヘビと同じくらい飼育が楽な種だとさえ言えるでしょう。

ヘビの餌としてのミミズを考えるとき、重要なポイントは、

1.どこから ”種ミミズ(自家繁殖をさせてヘビに与えますが、その際の第一世代となるミミズ)” を購入するか
2.飼育・繁殖させるミミズのケージの仕様

この2つです。
ミミズの入手方法は主に、1野外で捕獲する、2.釣り餌として販売されているものを購入、3.コンポスト用に販売されているものを購入という3つの手段があります。
このうち、1は量を集めるという点で不安ですし、2は餌として与えられているものに問題があります(段ボールやパルプなどを餌として与えている場合もあります)。
したがって、3のコンポスト用のミミズを購入するのが一番安全です。

コンポスト用に売られているミミズは、かなり大量の単位(5㎏など)の場合もありますが、1ヘビが餌として消費する量が多いこと、2永続的な繁殖のためにはある程度の量が必要であることなどを考えると、特に問題はないでしょう。

餌のミミズで問題となる2つめは、"ミミズのケージ" です。
彼らはヘビ以上に脱走が得意で、ごくわずかなすき間からでも次々と脱走してゆきます。
実際に飼育された方では心あたりがあるかもしれませんが、ケージに不備があると部屋の中にミイラ化したミミズが散らばっているなどということもあります。

では、完全に密封したケージであればよいかというと、これも良くありません。彼らはヘビと同様、高温・高湿に非常に弱いことから、ある程度の温度・湿度を超えると壊滅的に死んでゆきます。
したがってイメージとしてはヘビのカスタムケージを小型化したような仕様、これがベストなミミズのケージということができます。

私のうちでは、ミミズ用にカスタムしたケージを使用していますが(ヘビのケージを発注している職人に依頼しました)、餌用にこうしたケージを発注したくない場合には自作してもよいでしょう。
プラスチックケースの壁面(4面)に工作用ナイフなどで窓を作り、網戸用の金網あるいはナイロン製の網を張って通気口とします。

餌については基本は枯葉でよいですが、ミミズをヘビの餌として使用する大きなメリットは "ガットローディング"、すなわちヘビが食べられない植物性の餌をミミズに与え、それをヘビに与えることで栄養付加を期待するというものです。

ミミズが好きな餌は柔らかくて甘いもの、つまりバナナやトマト、イチゴ、あるいはカボチャやサツマイモなどです。あるいはトウモロコシなどもミミズが好むものの1つです。
これらはヘビの餌として与えることを考えた際に、非常に有効な栄養成分を含んでいるという意味でも優秀な餌と言えます。

ミミズ=湿った土が好きというイメージが持たれているようですが、彼らもまたベチャベチャに水分を含んだ土は非常に嫌います。
また粘土状に "ダマ" になった土も好きではありません。したがって、適度に粒状の用土を使用し、地中に水や空気の隙間がふんだんにあるという環境がベストです。
理想的な湿度のイメージとしては、土を指ですりつぶしてみて、下にパラパラと落ちる、そして指先に少しだけしっとりとした湿気が残るといったところでしょうか。

また枯葉の割合を増やすことも、彼らが好む土壌環境とするために効果的です。イメージとしては用土4に対して枯葉6くらいの割合でも良いでしょう。
なお、ミミズが長く暮らした土は健全化していますので、入れ換えで取り出した土はヘビのケージに使用することもできます。
逆にヘビのケージの中で ”疲れた” 土をミミズに健全化してもらうということもよいでしょう。

ここまでヘビの餌としてのトカゲ類、およびミミズについてご紹介してまいりました。
少し長くなりましたのでここでいったん筆をおきまして、そのほかの無脊椎動物の話しは次の項とさせていただきます。

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