ヘビの餌:"夜行性" or "昼行性" 給餌時間との関わり
図鑑などで、特定の種について ”夜行性” あるいは "昼行性" と表記されていることがあります。
しかし、実際にはこうした "活動時間帯" を明確に分けることができない種や個体も少なくありません。
夜行性とされる種が午前中に活動している姿を見ることもありますし、昼行性の種であっても夜間、活発に動き回っている様子をしばしば見ることがあります。
*多くのヘビでは気温が最も高くなる正午以降、夕方までの時間帯には夜行性・昼行性を問わず活動範囲が狭く、動きが鈍くなる傾向があります。
したがって、"夜行性・昼行性" の表記に過度にとらわれることは危険な場合もあるのですが、"一応の目安" としての活動時間帯を把握しておくことが飼育管理において重要なことは間違いありません。
多くの場合、活動時間帯と深く関係しているのは ”餌動物の行動” です。
自然下で小型の爬虫類や両生類、あるいは魚類などを食べているヘビでは、それらの動物がバスキングのためにはい出てくる午前中に活動する頻度が多くなります。
一方で小型のげっ歯類や鳥類を主食としているヘビでは、それらの動物があまり動き回らない夜間に活発化する種が多いようです。
もちろん、こうした餌動物の行動 "だけ" がヘビの活動時間帯を決定しているわけではありません。
採餌行動の特徴、すなわち ”待ち伏せ型(特定の場所で餌動物が通り過ぎるのを待つ)” か "追跡型(餌動物を捜して徘徊する)" かということ、あるいは日中・夜間それぞれの気温・気候なども当該種の活動時間帯と深く関連する要素のようです。
とはいえ、ある程度その傾向を把握するヒントとして餌動物の行動傾向は参考になると言えるでしょう。
"餌を与える時間帯" すなわち給餌の時間について、こうした自然下での活動時間帯を参考にすることで、ヘビの消化器系への負担は少なくなるものと考えられます。
たとえば昼行性のヘビであれば午前中に、夜行性のヘビであれば夜間、比較的遅い時間帯に餌を与えるというわけです。
私たち人にしても(いろいろな職業がございますし、必ずしも一概にすべて同じというわけではありませんが、あくまで)基本的には ”昼行性” の暮らしをしていますので、できるだけあまり夜遅い時間帯に食事を摂るという生活は健康によくない場合が少なくありません。
同様にヘビにも "本来備わった本能に基づいた摂餌の時間帯" というものがありますので、それに合わせた給餌時間の設定をしてあげた方が調子がよい傾向があります。
これは養殖個体(CB)であってもなんら特別なことではありません。養殖個体は自然下の個体とは全く別物であるかのような扱いで問題ない、というような情報もございますが、もちろんそんなことはありません。
飼育管理者それぞれで、さまざまな事情があってなかなか理想通りの時間帯に餌を与えることが難しい場合もあるでしょうが、このことを理解・意識していただくことで、生体の健康状態を良好に保つヒントとしてただくとよいと思います。