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【書評】部下をもったらいちばん最初に読む本 人と組織のパフォーマンスを最大限に引き出す仕事術
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人と組織のパフォーマンスを最大限に引き出す仕事術
無免許マネジメントからの卒業 ― 選択理論で組織は変わる
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今日のビジネス環境において、効果的なマネジメントの重要性は、ますます高まっています。
しかし、多くのマネジャーが「無免許運転」のような状態で日々の業務に追われ、本質的な組織の成長や人材育成に十分な注力ができていないのが現状です。
本書は、このような課題に対して、選択理論心理学という科学的基盤に基づいた、具体的かつ実践的な解決策を提示しています。
著者の橋本拓也氏は、アチーブメント株式会社の取締役営業本部長として、1300人以上のメンバーマネジメントを担当しています。
しかし、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。
新卒入社3年目という若さでマネジメントを任された著者は、当初、メンバーとの信頼関係構築に苦心し、部下の退職や異動が相次ぐという厳しい経験をしています。
この経験から著者が見出したのが、選択理論心理学を基盤とした「リードマネジメント」という手法です。
本書の特筆すべき点は、この手法が単なる理論に留まらず、著者自身の実践を通じて検証され、改良されてきた点にあります。
年間1.8万人以上が受講するセミナーでのフィードバックも、手法の有効性を裏付けています。
リードマネジメントの核となる考え方は、「すべての行動は自らの選択である」という選択理論の基本原理です。
この原理は、従来の命令・管理型のマネジメントとは一線を画すものです。
人は外部からの強制や命令ではなく、自らの意思で行動を選択するという考え方に基づき、メンバーの自発的な行動を引き出すアプローチを提案しています。
特に注目すべきは、人間の5つの基本的欲求(生存、愛・所属、力、自由、楽しみ)に着目した点です。
これらの欲求は、すべての人間に生まれながらに備わっているものですが、その強弱のバランスは個人によって異なります。
リードマネジメントでは、このバランスを理解し、適切にアプローチすることで、メンバーの内発的動機づけを促進します。
本書で提示される5つの技術(リーダーシップ、個人の成長支援、水質管理、委任、仕組み化)は、どれも具体的で実践可能なものです。
特に、信頼関係構築のための7つの習慣(傾聴、支援、励まし、尊敬、信頼、受容、違いの交渉)は、明日から実践できる具体的なツールとして示されています。
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本書を読んだ感想として
本書の最大の価値は、マネジメントを「学べる技術」として体系化した点にあると感じました。
多くのマネジメント書が抽象的な理論や理想論に終始する中、本書は実践的な手法と具体例を豊富に提供しています。
特に印象的だったのは、「上質世界」という概念です。
これは各個人が持つ理想や願望を表すもので、マネジャーはメンバーの上質世界を理解し、そこに自分や仕事を位置づけることで、メンバーの自発的な行動を引き出すことができるという考え方です。
この概念は、従来の目標管理やKPI達成に偏重したマネジメントとは異なる、新しい視点を提供してくれます。
著者の失敗経験から学びへの過程が率直に描かれている点も、読者の共感を誘います。
完璧なマネジャー像を提示するのではなく、試行錯誤の過程を通じて成長していく姿は、多くのマネジャーに勇気と希望を与えるものではないでしょうか。
本書を特におススメしたい人
・マネジメントの基礎を体系的に学びたい新任マネジャー
・チームの生産性向上に課題を感じているベテランマネジャー
・メンバーとの信頼関係構築に悩むリーダー
・組織開発や人材育成に関心のある経営者
・科学的アプローチに基づいたマネジメント手法を求める人事担当者
本書とあわせて読みたいおススメの書籍
・マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識 ローレン・B・ベルカー (著), ジム・マコーミック (著), ゲイリー・S・トプチック (著)
・リーダーの仮面 ── 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法 安藤広大 (著)
・心理的安全性のつくりかた 石井遼介(著)
・1分で大切なことを伝える技術 齋藤 孝 (著)
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本書のまとめ
リードマネジメントは、選択理論心理学という科学的基盤に基づきながら、実践的で具体的なマネジメント手法を提供しています。
人間の基本的欲求と上質世界という概念を軸に、メンバーの内発的動機づけを重視し、信頼関係の構築を通じて組織のパフォーマンスを最大化することを目指します。
著者の実体験に基づく豊富な具体例と、体系的な理論展開により、マネジメントを技術として学び、成長していくための確かな指針となっています。
現代のビジネス環境において、効果的なマネジメントの重要性はますます高まっており、本書は多くのマネジャーにとって必読の一冊といえるでしょう。
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