小説無しでは生きていけない!
私は物心ついた頃から、人とのコミュニケーションに難しさを感じていた。
「何で人は本心を言葉にしないのだろう。」
コミュニケーションについて悩んだ事柄は沢山あるが、その内の一つだ。
その内容がポジティブなものでもネガティブなものでも、多くの人はそれを隠し、建前のキレイな言葉で会話する。(特に多感な学生は。)
嘘が苦手で、素直な感情や考えている事を躊躇いもなく話してしまう私は疑問に思っていた。
(あまり本当の事ばかりを言っていると自分が損をする、と気付いたのは大学生の頃だった。)
「人の心の中が見えたらどんなに楽か。」
そんな時に出会った本が、朝井リョウの『何者』。
世間では、抱くこと自体を悪とされている負の感情の羅列。「誰しもがこんな感情を持っているのか!私だけじゃないのか。」と救われた思いだった。
元々、幼い頃から小説が好きだった私はすっかり朝井イズムの虜になった。
小説では登場人物の思考(=その登場人物を生み出した作者の思考)を覗き見ることが出来る。
現実世界とは違い、小説の中だけは"正直な世界"が広がっている。
心の安定剤で、もはや小説無しでは生きていけない程になった。
嫌な事があった時、小説というもう一つの世界に現実逃避する。
これが私のライフスタイルだ。