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会社の人事で「性格」は考慮に入れるべき?

あいまいで主観的な「性格」の捉え方

採用や配属といったいわゆる「会社の人事」に「性格」や「キャラ」は考慮に入れるべきか、という質問を受けることがあります。「明るい性格」とか、「性格が悪そう」とかいった、いわば主観的な印象論に終始するのであれば、答はもちろん“No”ですが、数値化が可能な指標に依拠するのであれば、答は”Yes”です。

性格を把握する上で、極めて重要となるこの客観的な指標を私たちキャリパーでは「パーソナリティ」と呼んでいますが、企業規模の大小を問わず、この「パーソナリティ」の重要性はきちんと認識されていないように思えます。

とかく話が「仕事」、とりわけ「会社」となると、日本では特に「公」の意識が高まります。「多少のことはガマンをして、個人の心理的事情は脇に置いて、会社や仕事に合わせなければならないのだ」。会社側だけでなく、働く側の人も、そんな感覚を結構な割合で持っています。

「パーソナリティ」と「能力」の間には深いかかわりがある

もちろんそれはある意味尊い心掛けではありますが、理に適った考え方とは言えません。人は規格化された工業製品ではないのです。人によって、出っ張りがあったり、引っ込みがあったり、いろいろです。すべてが同じ「カタチ」であるとみなして、同じ穴に押し込めようとすれば当然無理が生じます。押し込む方も、押し込まれる方も、きちんと個々の「カタチ」があって、その存在を認識・尊重することがとても重要です。

仕事には向き・不向きがあります。初対面の人と打ち解けて話をするのが苦手な人は営業や接客には向いていませんし、数字や計算が苦手な人に経理は向いていないというのは、誰しも容易に想像がつきます。

「え?それは『能力』でしょ?『パーソナリティ』とは違うのでは?」と思った方、確かにそう考えるのは間違いではありません。しかし、パーソナリティと能力とは切っても切れない強い結びつきがあります。人の能力を数値化するために、しばしば行われる検定を、「テスト」と呼びますね。さまざまなパーソナリティとさまざまな能力の間には統計学的に強い相関関係があるのです。「テスト」で能力が数値化できるように、「パーソナリティを数値化するテスト」ができれば、そのパーソナリティに合う仕事も、ぴたりと言い当てられる訳です。

それは今時のダイバーシティとか、インクルージョンとかいった倫理感や精神論に基づく話ではなく、心理学的・統計学的なデータに基づく話なのです。

「内的動機」がすべてを決める

どのようなパーソナリティの人が、どのような仕事にマッチするのかについては、世界各国のキャリパー社が70年以上にわたって蓄積している600万件もの独自のデータから、かなり高い率で的中させることができます。その人がどのようなパーソナリティなのかについても、キャリパー独自の「キャリパープロファイル」というテストを受検すれば、極めて精緻に、かつ客観的に特定することができます。

多くの人は「人見知りだから」とか、「口下手だから」とか、自分で自分の評価を決めてしまいがちですが、本当にそうなのか、また、本当にそうであったとしても、なぜそうなのか、ということについては、自分できちんと深掘りできていません。人見知りと言っているくせに、見知らぬ人に道を尋ねられると親切に教えることができる人は意外に多いものです。

人は知らず知らずのうちに「内的動機」によって、行動を起こしています。より正確に言うなら、「内的動機」によって、パーソナリティが形成され、そのパーソナリティがその人固有の価値観を生み、その価値観がスキルの取得や能力となり、行動となって現れるのです。キャリパーが一貫して見ているのはこの「内的動機」で、これを類型化することでその人に最適なキャリアパスを描出することができます。

「仕事が楽しくない」のは誰のせい?

「仕事が楽しくない」という現場の声を、本人のやる気や周囲の環境のせいにするのは簡単です。しかし、その人を採用し、送り込んだのは少なくとも本人ではない訳ですから、問題から目を反らさず、きちんとその原因を解明する必要があります。

「内的動機」は悩みやトラブルの原因を究明するだけでなく、その人材をきちんと活用するのに必要な処方箋も示してくれます。人事の担当者が超然とした立場から、感情論や憶測を排して、客観的に対処する上で、オールマイティーと言えるくらい、頼りになる指標です。

時代の移り変わりとともに人材が多様化しているというような認識を持たれるかもしれませんが、厳密にはそうではありません。もともと人材というものは多様であり、それは昔から変わっていないのです。ですから、より正確に言うなら「人材は多様であるということが、顕在化している」のだと考えましょう。

これだけITやデジタル化が進んだ世にあって、人事の世界はまだまだ遅れています。「内的動機」の解明を通じて、働く人が最大限のパフォーマンスを発揮できるようになれば、会社もその成果を享受できる訳ですから、双方にとってこんなに善い話はありません。働く人・働かせる人の利害は常にトレードオフとは限りません。この場を通じて、その可能性について、一緒に考えてみませんか。