記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

UMIPROduce 旗揚げ公演 舞台「くるわ、くるら」感想(2025/02/15 13:00)

UMIPROduce 旗揚げ公演 舞台「くるわ、くるら」@新宿シアターモリエール
上演時間は約2時間10分+アフターイベントのお見送り会、休憩なし

舞台全体の印象

舞台セットは赤い格子と障子が目を引き、吉原遊郭の雰囲気を感じさせるものでした。
登場する女性陣はみな華やか。全員唇がツヤツヤで遊女としての美しさが際立っていました。
出番は少ないけれどきょうとひのえの男コンビもコミカルで好きでした。

推しの演技について

推しは吉原一の楼主、サンシ役。
台詞では「女好き」と言って、主人公の一人を買う描写もありましたが、色事の匂いはあまりしませんでした。
第五舞台のリッパーのような胡散臭さが少しあるものの、品があり、楼主としての風格につながっていました。

この絶妙なバランスが推しらしい演技の巧さだと感じました。

特に良かったシーン

病気で行灯部屋に隔離されている遊女・宵闇が「西洋の本も読んだが神も男だった」と言う台詞が印象的でした。
観客の8割以上が男性客であるにも関わらず、観客の男性を刺すような鋭い台詞が含まれていることに驚きました。

この作品が単なる美しい遊郭の物語ではなく、社会的な視点も持ち合わせていることが伝わってきました。

気になった点

全体として、遊郭を舞台にした独特の雰囲気と美しさ、社会的なテーマ、衝撃的なストーリー展開が入り混じった作品でしたが、隣の男性客が最前列にも関わらず、上演時間の半分くらい寝ていました。
普段なら上演中に寝る観客は許せないのですが、この舞台に関してはその気持ちが少しだけ理解できました。

まず話として遊郭のさまざまな要素を詰め込みすぎているように感じました。
次に全体の2/3までは比較的単調に進むのですが、残りの1/3で突然W主役の姉妹の姉が妹を殺そうとするショッキングな展開になりました。

その後、姉が妹になり代わる「姉ルート」(※私が勝手に名付けた)、妹が別の禿に庇われて生き延びる「妹ルート」(※同上)が提示され、その間に別の登場人物2人が命を落とし、ラストは姉妹のどちらがどちらかわからなくなる演出で幕を閉じました。
実際には姉が妹になりきり、妹が姉のようになっているようでしたが、一度観ただけでははっきりと理解できない構成でした。

隣の人がどうして寝ていたのか事情はわからないのですが、前半は盛り上がりに欠けて集中力が途切れそうになったところがあったし、かといって少し気を逸らすとちょっと途中から追いつくのも厳しいかな、とは感じました。

終演後のお見送り会

終演後に「お見送り会」というイベントがありました。
お見送り会に参加すると、まるで自分が遊郭の客としてその世界に取り込まれてしまうような感覚がありました。

キャストさんによるお見送りはセットの赤い格子越しに行われ、女性キャストさんにはおひねり代わりに簪を直接渡せる仕組みで、こうした演出が「遊郭の客と遊女」という構図を強調していました。

ただのアフターイベントではなく、ある種の“参加型演劇”のようになっていましたが、私はその没入感に違和感を覚えました。
観客の大半が男性だったこともあり、舞台を観ていた時とはまた違った空気が流れていました。

演劇を観る側として楽しんでいたはずなのに、イベントの仕組みによって意図せず「体験する側」に立たされました。
舞台のテーマを考えれば、それも演出の一環だったのかもしれませんが、個人的には少しグロテスクに感じました。


決してダメではないけれど、個人的にはあまりノれる舞台ではなかったです。

"not for me"ではないのですが、隣の方が寝てしまっていたのはちょっとわかってしまったし、寝かせるなよ、とは思いはしました(隣の人はキャストさんが結構近くに来るまで寝ていたのでなかなかの人だとは思いますが)。

この記事が参加している募集