ハッスル令嬢

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「刑法研究者が作った論証パターン」感想

 法学セミナー839号(2024年)の特集「刑法研究者が作った論証パターン」が話題なので、早速読んでみた。全体として、実行の着手や、共同正犯論など、新たな議論動向(進捗度説、共謀共同正犯と実行共同正犯の区別論等)も踏まえつつ、答案に落とし込みやすい解説となっており、理論面でも概ね共感を覚える箇所が多かった。個人的には、「故意責任の本質」の論証のような、「ネタ」でしかない無意味な呪文を、真面目に暗記して、答案に書いてしまう受験生が未だに存在することを憂いていたので、これにとどめ

    • 令和6年度司法試験(刑法)解説

      1.〔設問1〕について(1)甲の罪責について  まず、甲がAの頭部を殴り、転倒したAの腹部を繰り返し蹴って、Aに肋骨等の傷害を負わせた行為については、傷害罪が成立することを端的に確認すれば足りるであろう。  その上で、甲が、Aが恐怖で抵抗できないことを知りつつ、「この財布はもらっておくよ。」と申し向けて、本件財布を自分のズボンのポケットに入れた行為については、本件財布を客体とする、1項強盗罪(236条1項)の成否を検討する必要がある。  特に問題となるのは、上記申し向けの時