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痺れる程の愛 Birthday Trip
オープンリレーションシップを公言してから、自由さと軽やかさを感じながら、自分はどう在りたいか?と自問自答してきた。白黒つけたい私は、私は私、彼は彼と線引きしようとしていたのかもしれない。彼と私の関係は一体なんなのか?彼から得られるものはなにか?そんなこと定義できるはずがない。心でただ感じるものは、頭で考える思考を超越する。ごちゃごちゃしたわだかまりは、シンプルに好きだという気持ちとともに自然と癒えていった。
秋の風を感じる大好きな季節に、1年に1度のお誕生日を迎え、私は34歳。毎年恒例となったお誕生日旅行がやってきた。島根は隠岐諸島にある、海士町へ。仕事のついで、と言いつつ、ほぼメインはふたりの時間。一生懸命で、喜びに満ち溢れている彼が愛おしい。
ゼロスタート
迎えた当日、彼と羽田から同じ便に乗る予定で空港で待ち合わせしていたのだが、私のフライトが遅れ、さらにバードストライク(鳥との衝突)で滑走路が閉鎖、空の上を旋回して待機。空港を全速力で駆け抜けるも乗り継ぎが間に合わず、目の前で彼を乗せた米子行の飛行機が出発。目的地の孤島まで、次便に乗っても、1日1本の高速船に間に合わない。このままじゃあ、島にたどり着けない。
空港スタッフとの攻防戦を繰り広げ、疲れと絶望のなか「俺たちならどんなトラブルも楽しめるよ」と安心感を与えてもらい、今できるベストな選択をと、最速で近くまで行けるであろうお隣、鳥取行きのフライトにギリギリ飛び乗った。これがいい決断となり、1時間程遅れて鳥取に降り立った私は、米子へとさらに1時間特急で向かった。
先に到着していた彼は、ホテルやレストランのキャンセル手続きをしてくれて、今日のところ島はあきらめ、別のプランを検討。一番の目的を失った私は、自分になにができるか?
ふと半年前に、気功の教室で出雲ツアーに参加したことを思い出す。米子から40分で、玉造温泉の名湯があるじゃないか!出雲大社を含め8社、無限の字を辿って巡った神社があるじゃないか!
早速、ここ!と一点突破で提案して、彼が当日ギリギリ滑り込み予約。レンタカーも奇跡的に直前で予約が取れて、土壇場で新たなプランが誕生。
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神々に導かれて
前回出雲で「下見してくる」の言葉が現実となり、10月の神無月に、神在月な島根の神々に呼ばれたとしか思えない采配。旅の前に、子どもと今年の振り返りを漢字一文字で書道で表現することになり、ふとカレンダーに書かれていた「神無月」の文字に、神がいない月、ならばどこにいるんだろうね、出雲に集結しているからいないのかな?と話していたところなのだ。その神々がいる島根の地に、今この瞬間いるのは感慨深い。本当にツイている。
源泉かけ流しの名湯は本当にすばらしく、癒され、神社でも神々に祝福され、心から満たされた。日本一の源泉かけ流しの混浴には、龍が舞っていた。
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治し須佐男命(スサノオノミコト)が稲田姫命(イナタヒメ)と結ばれた地、八重垣神社は生命力溢れ、性を象徴するような、ビビットで煌びやかなパワーが宿る。
うってかわって、国宝神魂(かもす)神社は、空気や光がピンと静まり返り、スローモーションで流れていく静寂とあたたかさ。その心地よさと言ったら!森がさわさわと揺れ、鳥が飛び立ち、ほんの一瞬雨がさっと降り去っていく。そこには道が開かれたかのように、太陽の光が降りそそぐ神業。
ラストは、出雲大社のご祭神、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の后、三穂津姫命(みほつひめのみこと)と、えびす様でおなじみのご子孫の事代主神(ことしろぬしのかみ)を祀る美保神社へ。清々しいこの地が、ふたりのお気に入りとなった。
すべてがPerfectionに向かって、導かれていく。私たちはただその流れに乗るだけ。もう十分すぎる程与えてもらい、もはや目的地の島に明日もたどり着けなくても、それでもいいよねと身をゆだねた。
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島での懺悔と感謝
翌日1日遅れて、ようやく島にたどり着いた時には、ここまで大変だったことなど忘れ、やっと来れた感動と感謝に包まれた。波の音、風、緑、空気、すべてが心地よく、あたたかく迎え入れてくれる。
待ちに待ったディナーは素材が活かされどれもすばらしく、笑っちゃうほど幸せだった。お誕生日のプレートには、彼と一緒に創り出した「Onenessをありがとう」の言葉。彼は私の一部であり、私は彼の一部であり、含まれているという愛の先にたどり着いたふたりだけの境地。愛しているの言葉や感覚は、常にアップデートしていけばいいんだ。
食事を終えて、お部屋に戻ると、なにもない静けさと穏やかさに包まれた。電気も消して、真っ暗な空間に島の絶景が広がり、たったふたりだけ。
突然彼が「プレゼント欲しい?」と口にした。プレゼント?なんで今?何?いつ買ったの?どこに持っていたの?想定外の展開に、あたふたする私は「欲しい!ほしい!くださーい」と小さな女の子が驚き喜ぶように飛びまわった。バックから出てきた包み紙を差し出され、真っ暗ななか、一瞬で吸い寄せられるような触り心地のいい真っ赤なセーターが現れた。プレゼントは、数週間前にたまたま仕事の合間に時間ができて、立ち寄ったお店で私に似合うだろうと見つけたのだそう。
なぜ昨日渡さなかったのか?今日のディナーでもタイミングがあっただろうに、そもそもプレゼントなんて期待していなかった。しかも、今の今まで黙って、待っていたの?(私はバレンタインの1ヶ月も前にチョコを渡してしまう女だ)あまりの衝撃と、彼の忍耐強さと、待つこと、もう人としての尊敬を超え、崇めたくなった。なんて大きな愛と優しさ、待つことのできる心の余裕なんだろう。彼はきっと家族に対しても、ただお金を吸いとられてきただけではなく、たくさんそこに居て自分ができるベストを尽くしてきたのだろうと想像することができた。誰に何と言われようと、過去の彼の努力が目に見えるようで、それを見ようとしていなかったのは私だ。ごめん。これまで彼をどう思っていたのか自分を疑う程、彼の偉大さを痛感した。
また、これまで彼にやってしまったこと、おそらく前世で仲間として戦っていた時に、彼が犠牲になってしまったのかもしれない。彼が「俺はいいから、先に行け。」とかばってくれたのかもしれない。とにかく「私が悪かった、ごめんね」と申し訳なさが襲ってくる。先輩と後輩、尊敬して慕う関係、そんな感覚。「先輩、一生ついていきます!」と後輩風を吹かせる私に、爆笑の彼。宝物を大切に扱うように、幸せそうに笑う姿に心を打たれた。
改めて、朝彼を眺めて「ずっとここで待っていてくれたんだ」というメッセージが降りてきて、腑に落ちた。彼があちこち飛び回って落ち着かないのではなく、私だったのだ。彼はずっとそこに居てくれた。何が本当のことなのか?物事の本質を見抜くのは、自分の解釈やこうであろうと期待があるからむずかしい。そこには何があるか?まっすぐに物事をただ見つめる。大丈夫、素直に受けとれば、ちゃんと用意されている。頭を殴られたかのような衝撃と涙がぼわっと溢れ出る。痺れる程の愛を、ありがとう。
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DRAGON LADY
今起こっている事実をもとに、ふたりの愛の探求ストーリーを描きます。記事1本380円でお試し読み、もしくはこのマガジンを500円で購入いただ…
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