似合う服がないアラフィフが骨格診断で長澤まさみになった
「ママ、Tシャツ似合わないよね」
「オカンはカジュアルって感じじゃないんよな〜」
今年の夏の終わり、子供達にこう言われ、私は頭をガツンと殴られたような衝撃を覚えた。
普段からファッションに無頓着な私。
いや、頓着したいんだけど、選んでる時間もスキルもお金もない。裸じゃないなら究極いいだろ、と開き直るしかない。
私が私の服を選ぶ基準は、私の体が入るかどうか。
私、特に大きくも小さくもない体格ながら、ウエストに合わせるとそこから下がブカブカになるし、胸板が厚いから前開きのシャツはだいたいボタンが弾けそうになる上、妙に腕が長いせいで頼んでないのに八分袖になる。
しかも、ここ20年くらいは、自分より子供達の服買わなきゃ! という大名目を持っていた(今も)。
その前は、服好きな夫に服を買っていた(今も)。
さらにその前は、私は、厳しすぎる母の気に入る服(田舎のスーパーの婦人服売り場で購入)しか着られなかった。
高校生の頃、母の選ぶ服があまりにダサいことに耐えきれず、意を決して異議を申し立てた私に母が一言、
そりゃああんまりじゃねえかいおっかさん(泣)
当時、ピチピチでパツパツの女子高生だった私は食べ盛りで、身長160センチ体重58キロ。そりゃあお世辞にもスマートではなかったが、この言葉は私をおしゃれ下手にし、私自身を見失わせるには十分すぎる呪詛だった。
そんなこともあってか、若い頃からどんな洋服を着ても結局「妥協」だった。
何を着ても結局自分じゃない気がして。
体型だけではない。
三人官女に紛れててもバレない自信がある和顔オブ和顔なので、もういっそ和服しかないと諦め、結婚式などおめでたい席には必ず着物を着ている。体型もある程度カバーできるし、何しろ顔が裏切らない。
ただし、明るいピンクやまぶしいくらいの緑、赤など、洋服だったら芸人さんしか身につけないような色の着物でないと、私の地味顔は完全に死ぬ。
和服が全て正解ではないのである。
おしゃれ迷子というより、もはや「おしゃれ難民」認定の私だったが、アラフィフになって、今年ようやく目が覚めた。
このまま自分を諦めながら何十年も生きていくのは嫌だ!!!
今年、私はnoteを始めた。書くことを仕事にしたいと思ったことがきっかけだった。
どうすれば書くことで生きていけるのか、あらゆる本や記事を読み漁った。
私は私を二の次にしてきた。「どうせ私なんか」の気持ちも大きかった。
ダサいな私の思考!!!!!
甘えん坊かよ! かまってちゃんかよ!! 厨二かよ(ちょっと違う)!!!
私はいいかげん自分を知るべきだ。
私は決意した。
自分を縛りつけてきた自分をまるごと解放せよ!
思い込んだらまっしぐらに走り出すタイプの私、さっそくGoogle先生とインスタグラム師匠に御知恵を拝借するため、ネットの荒海に漕ぎ出した。
実はちょっと前から、パーソナルカラー診断や骨格診断が気になっていた。
よく聞く「ブルベ・イエベ」「夏とか秋とか」って何だろう?
「骨格タイプ」の自己診断があるけど、私この3タイプのどこにも当てはまらないのはなぜ?
本当にこれの中のどれかに私が入れるのか?
まさか私、人外……?👽️
人外ならもう打つ手はもうないんじゃないか。
いやいや、ここで諦めたら試合終了ですよ!
私は私を諦めない。そして私の試合は始まってすらいない。
いいか私。
ネットで自己診断とかその場しのぎのことで素人がどうこうできるレベルの低さじゃないんだ私は。
おしゃれに関して計測不能なぐらい低レベルなんだ。
幸い私は働いていて、ありがたいことにお給料を稼いでいる。
プロに頼もう。
金ならあ……なんとかする。
私はインスタの検索画面に、住んでる県名と「骨格診断」「カラー診断」の検索ワードを入れ、ヒットしたアカウントをくまなくチェックした。
ヒットしたアカウントは5件。多くはないこれらの投稿を見て、いきなりお願いできるサロンか、信頼できそうな先生か、内容を吟味。選ぶ基準は自宅からの距離と、私にとって敷居が高くないこと。
敷居とは、価格のことではない。
私みたいな、Tシャツの似合わないアラフィフがTシャツを着て駆け込んでも笑われない雰囲気かどうか。
もうマジで、切実に、これは大事だった。
これ以上ダサい人生送りたくないがために行った先で、「ダッサww」とか笑われたらもう烙印にしかならない。
誰だ焼印って言ったの。家畜じゃないんだよ。
だいたいね、自分でおしゃれがわからないからプロに聞きに行くんだよ? おしゃれわからない人しか聞きに行かないでしょ? ダサくて当然なのよ、行く時は。
身なりをきっちり整えて駆け込み寺に駆け込む人はいないんだ。
そう自分に言い聞かせ、そして見つけた1人の先生に、私は白羽の矢を立てた。
どの先生も「さすがおしゃれのプロ……!」と感じる投稿だったけど、今回の先生を選ぶにおいて何よりの決め手になったのは、投稿のシンプルさと明解な解説、そして先生自身の素敵な笑顔だった。
私も、こんな素敵な笑顔の人として認識されたい。
というわけでさっそくDMで診断を予約。
ビビり倒して自分の気が変わらないうちに、ではない。この時点で、実はすでにめちゃくちゃワクワクしていた。
そして予約当日、指定されたマンションについに足を踏み入れると……
私は早くも舞い上がり、すぐに我に帰った。
その言葉を必死で揉み消し自分を奮い立たせる私。
こんなお宅に似合うゲストになるためにここに来たんだろ!!!
荒い鼻息を抑えつつ、ついにサロンへ。
「こんにちは! 今日はよろしくお願いします😊」
インスタで拝見するよりもさらに素敵な笑顔の先生が出迎えてくださった。
私は一目で「好き❤️」と思った。
先生は、内側からキラキラが溢れ出ている。
芸能人でいうと酒井若菜さんみたいな、柔らかくかわいらしい方。
なので、ここでは若菜先生とお呼びする。
最初に自分の簡単なプロフィールをアンケート用紙に記入。
年齢や職業のほかに、好きな服装のテイストや、好きな服のブランド、「こうなりたいイメージ」を聞かれる。
私は超絶に困った。
いきなり絶望して何も書けなくなっている私に、若菜先生は「空欄でもいいですよ😊 今日は一緒に探していきましょうね」と、なんでもないことのように言ってくださった。
このサロンを選んで正解だった……!!
出していただいたコーヒーもめちゃくちゃおいしい。最高の空間だ!!
さっそく骨格診断から。
ネットで自己診断してみたものの、人外だったことを白状する私。
「私、3つのタイプのどれにも当てはまらなくて……😭」
ストレートとナチュラルのタイプに両方当てはまったり、当てはまるタイプが見当たらなかったりしたんです、どうしたらいいですか先生!!
若菜先生のサロンでは、
ストレート
ウェーブ
ナチュラル
ボディコン
の、4タイプで診断されている。
体の線が出る格好(下着とスパッツ)になって、いざ診断。
首の長さや手の厚み、肩のライン、腰の位置、脚の形、膝の大きさ……
身体のパーツ30箇所を、先生にくまなくチェックしていただいて……
ボディコンタイプだった。
若菜先生 「肌見せやタイトなシルエットがお似合いになりますよ♪
身体にフィットしたものや、シンプルでタイトなラインのもの、高級感のあるものの着こなしが得意なタイプでいらっしゃいますよ🥰」
私が今まで最も自分から遠いと思ってたやつやないかーい!!!
予想外過ぎて恐れおののく私に、若菜先生が微笑んだ。
「芸能人でいうと、鈴木京香さんや深田恭子さん、長澤まさみさんがこのタイプですよ😊」
一瞬、「あなたは長澤まさみさんですよ」と言われたような錯覚に酔う。
……これは何かの罠なのか?! めっちゃ気分いいぞ?!?!
さっき出されたコーヒーに何か盛ってあったのかと思うほど(失礼な……)テンションが上がる私。
えー長澤まさみかぁ〜😁ニヤニヤ
この時点で気分はすっかり女優である。
若菜先生によると、
ボディコンタイプに似合うトップスは、デコルテ出す系。タートルネックや丸首Tシャツは苦しそうに見えるけど、オフショルダーやボートネック、横に広いVネックならきれいに見える。
ボトムスはスキニーパンツかペンシルorマーメイドスカートなど、脚のラインが出るシルエットが得意。身体の線をカバーするカーゴパンツやフレアスカートはバランスが難しい。
上着なら、似合うのは柔らかい素材のジャケットや、ライダース。
……誰の話ですか???
どうしよう。
全然持ってない服ばっかりだ。
そのまま農作業できる服しか持ってない。
そして私、三人官女だよ?
全然私のキャラじゃなくない??
いやいや、と私は思い直した。
私が私のキャラを制限してどうするんだ。
そのマインドロックを外すのが今回の診断の目的の一つだったじゃないか。
解放! 自分を解放!!
……そうだ。
私は長澤まさみなんだ。
そして、パーソナルカラー診断。
いろんな色のドレープが、次から次へと胸元に当てられる。
「あっこれインスタとかでよく見るやつだ!」と思わず発言して若菜先生を苦笑させる私。
例えばひと口に「ピンク」と言ってもいろいろある。黄色味のあるピンク、赤味の強いピンク、青味が強いピンク……
私、いかに自分が色に対して無頓着だったかを思い知った。
私に似合うカラーは、予想どおりと予想外が半々の結果に。
私自身、派手色が似合うと思っていたし、言われたこともあった。
けど、派手なら何でもいいわけじゃないってことが、今回の大収穫。
診断の結果、私、
ブルベ夏でした!!!
パステルカラーとか、明るさを感じる色のドレープを私の顔の近くに持ってくると、肌がトーンアップして見える。
すごいぞパーソナルカラー!!!
淡い色のほかにも、私にはロイヤルブルーとかの「ウィンター」の色にも合うものがある、と若菜先生。
「はっきりした色を選ぶときは、ブルーベースの色から選ぶとお似合いになりやすいですよ😉」
逆に私が苦手なのはイエローベースの色。
黄色味のある色のドレープを当てると、たちまち顔色が暗くくすんで見える。
イエローベースの物は、顔から離して取り入れるのが吉、ということだそう。
ねえすごくないパーソナルカラー!?!?(大興奮なので2回言う)
服だけではなく、コスメの色もアドバイスをいただいた。サロンを予約した時に「手持ちの化粧品を持ってきてください」とメッセージをいただいていたので、リアルガチのマイ化粧品を持参した私。
あんまり手入れが行き届いてなくてお恥ずかしいそれらを見て、若菜先生がパァッと笑顔になった。
「どれもお似合いになる色を選んで使っておられますよ! すごい✨」
すごいな?!?! でもすごいのは自分じゃないのだ。私はすぐに自白した。
「実は、昔からお世話になってる地元のお化粧品屋さんの店長さんにおまかせしてるんです……」
「そうなんですね! 店長さん、すごくよく見てくださってますよ😊✨」
あ、ありがてぇ……!
私はなんと恵まれていたんだろう。
(この話はのちに、店長さんご本人に、お礼と共にお伝えしました。一緒に喜んでくださって嬉しかった!)
そして私は考えた。
それから、サロンにあるおすすめのコスメをテストさせていただいた。
初めてコスメを買った時みたいなワクワク感が、30年ぶりくらいに蘇る。
先生が勧めてくださった口紅は、私の目には単に茶色に見えた。
マジで? え、茶色とかアリなん??
という気持ちが顔に出ていたのか、先生が声をかけてくださった。
「ラベンダーとかローズとか、肌色から遠い色がお似合いですよ🤎」
し、知らんかった……!!!
危なかった……。
むやみに赤の強い口紅を選ぶところだったわ……。
そして茶色に見えた口紅は、私が塗るとむちゃくちゃ顔色良く見えたのだった。
まとめ。
「へえええええ〜!!👀」
サロンで過ごした3時間のうち、多分2時間半は「へえええええ〜!!👀」って言ってた。
目からウロコだったし、
何枚も自分の皮が剥けたし、
何より、
心がめちゃくちゃ軽くなった。
私なんにも似合わないって思って、
そのネガティブな気持ちを先生にも語ってて、
先生もそれを気にしてくれていて。
私を気遣いながら、優しくつきあってくださって。
私が背負い続けていた大きな荷物を、ひとつ取っ払ってくださった若菜先生。
本当に感謝しています。
そして、
「似合う服なんかない」と刻みつけられてしまった高校生の頃の私!
大丈夫だよ! あと30年くらいかかるし、想像できないと思うけど、
長澤まさみになれる未来が2024年に見つかるよ!!
遅くなってごめんな!!!
こっから死ぬまでおしゃれするよ!!!
それから……
ってことで、さっそく自分の服を買いに行きたいって言ったら、息子が驚いた。
「オカンが自分の服買いに行きたいって言うの初めてじゃね?」
その息子の顔は全然イヤそうじゃなくて、それどころか「おもしれーな」って笑ってた。
手始めに、若菜先生オススメのコスメを買った。
商品名はSNSでよく見聞きしてたけど、そんな若い子が買うようなもの、私が買っていいとは思ってなかった。
リップモンスターはたしかに話題になるだけあって、発色の良さと落ちにくさにびっくりした。今までの口紅は何だったんだ。朝、白いマグカップでホットコーヒーを飲んでも、カップのフチが白いままなんて、初めての経験だ。
すごい。すごいぞ令和。すごいぞ21世紀。
娘も、「ママ、唇がいつもより明るい! きれいな色だね」っておもしろがってくれている。色のチカラ、すごいよ。
ちなみに……
パーソナルカラーと骨格診断に行きたいと思ってる話を家族にしたとき、娘が興味を示してたと思ってたんだけど、
行ってきた報告を家族にしたら、息子がノリノリで聞いてくれて一言、
「俺もやってもらうかぁ!!」
それは想像してなかったわwwww