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自分の髪の毛で筆は作れるのか?
学校の書道の授業で「身の回りにあるもので筆を作るので何か持ってきてください」と言われたんですけど、何がいいと思いますか?
先日、高校生の教え子からこのような質問をうけました。
実はこれ、私が高校生の時にも同じ課題が出され、植物の根や紐、ペットの毛、鳥の羽、歯ブラシ等々持ち寄って、これらを使って書道の授業で字を書いたことがありました。
その中で一人、おばあちゃんの髪の毛を持ってきた子がいましてね。長さは5cmほどあったでしょうか。半分ほど白髪が混じった、紛れもない人間の髪の毛でした。
「白髪染めしまーす」
なんて言いながら、賑やかな楽しい書道の時間を過ごしました。女子校だったのもあり、みんな仲が良かったです。
女子校は天国であり、実に残酷です。現実を全て書くとドン引きでしょうねぇ。
生徒同士は仲が良い。だからこそ若い男性の先生方は相当大変だったと思います。
おばあちゃんの髪の毛で筆ができるのなら、自分の髪の毛でも筆ができるのではないか?と思ったので作ってみることにしました。
本当は今生えている髪の毛を結んで直接書きたかったのですが、なんせ肩に髪がつくかどうかという長さなので、実際にやろうとすると無理がある。
髪を切りに行った時、美容師さんに
「2,3cm切ってほしい。でも今日は筆を作りたいから髪を持って帰りたい」
と話すと
「えっ?え?小筆くらいならできるかもですけど…」
と言われました。
小筆で良いのです。これで半紙に九成宮を6文字書こうなんて思っていません。
というか、まともな字なんて書けるわけないのです。
一旦バラして乾かして根元を揃えてまた結ぼうとしたのですが、乾くと髪がバラバラになって全く言うことをききません。
えー!
髪の毛がこんなにわがままだったとは。
しょうがない。自分の髪の毛だから。
本物の筆作りも厳格に湿度管理されたところでなされていると記憶しています。乾燥していたらまとまらないのでしょう。
どうしようもないので、もう一度濡らしてまとめます。
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筆、いや、髪のコシを確かめるとフニャフニャ。こんなんで書けるの?
普段、弾力のある筆を使うことが多いので余計にそう感じます。
短くした方がよさそうなので、カットです✂️
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すみません。なんか変なものを載せている自覚は多少あります。
次にそのあたりで枝を入手します。
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現在出土している最古の筆は戦国時代の楚の遺跡から出土した「長沙筆」とされています。
筆管は木(竹という文献もある)で、穂は兎毫。管の先に毛を捲きつけて上から細い糸(絹)で縛り、漆で固めているようです。
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紀元前の筆より原始的。
さて、書いてみます。
私が今まで使ってきた筆の中の感覚では馬っぽいです。
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まぁまぁ面白い線が出ます。
墨が飛んで「で」の点が3つになっちゃいました。
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少し墨を薄めた
結論としては、まともな字は書けないけど、将来筆を買う余裕がなくなったらこれで書道が続けられそうです。
たくさんの動物たち、筆に携わる職人さんたちに心から感謝です。