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好きの反対は何?

「これが好き」より「これって嫌い」のほうが時に人は饒舌になる…というお話をずいぶん前に書きました。
たとえば誰かと会話する際、嫌い、苦手、というもののほうが、好きなものについて語るより、不思議と盛り上がったりするものです。これは、好きと同じかそれ以上に、嫌いも人の感情を強く動かすからでしょう。
ずっとそんな風に考えていたものの、ここへきて、ある人からまたなるほどと思わされる話を聞きました。

その方いわく、好きの反対は嫌いではなく、どうでもいい。嫌いですらない、無関心である。
人生は短く、時間は有限なのだから、好きでないものや人に関わっているのはもったいない。
嫌いな対象について考えたり話したりでエネルギーを割くよりも、好きなものや人にそれを振り向けたほうがずっといい。

確かにそうだと思います。
嫌いなものについて考え始めると、じきにその感情に引きずられ、動揺したり一人で気分が悪くなったり、いわば自家中毒を起こした形になってしまう。
そんなことを続けるうちに生活の質は低下して、悪くすれば人生がめちゃくちゃになるかもしれない。これは決して大げさな話ではありません。

それに反し、どうしても好きにはなれない対象に、関心はありません、自分にはどうでもいいことですと心の中で宣言できれば、悪感情に引きまわされ、心中の平和を脅かされることもなさそうです。これは、無理に嫌いなものを無視したり逃げるのではなく、貴重な時間やエネルギーを大切にし、心を守るための手立てです。

残念ながら、人生において出来ることには限りがあります。
好きなもののために力を使う、全力で注意を振り向ける。手間暇を惜しまず、愛情を注ぐ。それは有意義で賢明なことだと言えます。
嫌いが少ない人生はすっきりし、好きでいっぱいなのは嬉しく喜ばしいものですし。
もしあるならば、嫌いへのこだわりはいったん置いて、かわりにもっと好きを追求してみるのはどうでしょう?

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