見出し画像

日本外食新聞掲載原稿 第64話

第65話が掲載されたので第64話をアップします。
今後どうなるかわからないドキュメンタリー(実話)連載です。


実録!飲食業界のパラダイムシフトに田舎の喫茶店マスターが巻き込まれたとき、現場をこなしながらどのように活路を見出すか。631日目。




4月も中旬を過ぎ、メニューを秋冬コレクションから春夏コレクションに模様替えしたのをきっかけに、またいつもの活況が戻ってきた。毎回メニューが大きく変わるタイミングは常連さんとご新規さんでごった返すのだが、最近は何故かご新規さんの方が増えているように感じられる。一切宣伝していないし、広告も出していないのにどうしたことだろう…不思議なもんだ。ただ、このご新規さんが増えたことで少し頭の痛い問題が出てきた。うちに来る年齢層の高い常連さんならまず起きない問題なのだが、ご新規さんは得てして年齢層が低いので対応に困る。

問題は大きく分けて2つある。まず一つ目は小さい子供連れの若いご夫婦の来店が増えたこと。えっ?それの何が問題なのかと思うだろう。順番に説明する。まず大前提として昨今のコロナ禍という空気の中で、ひと家族あたりの外食の回数が減っていることは言わずもがな。今まで月に4回外食していた家族が2回に減らしているなんてことはザラだ。ではその2回、貴重な2回なのだから絶対に失敗したくないという気持ちはよくわかる。では失敗しないためにはどうするか。ネットで調べて調べて調べ尽くして、食べログやGoogleなどで高評価のお店をチェックするに違いない。そしてInstagramを見ながら気合十分でお店に来るのだ。たまの外食、美味しい料理と日常を忘れられる解放感…つい長居してしまう気持ちも理解できなくはない。
と、ここでお店側の視点に立ってみる。
飲食店というものは実にシンプルで、1日の売り上げは【客単価✖️客数✖️回転率】で決まる。今はコロナ禍で隣の客との距離をある程度確保しなければならないという条件のもと、アクリル板などで席数の削減を余儀なくされている。つまりお客さんをギュンギュンに詰め込んで客数を稼ぐことができないということだ。当店もアクリル板を置いて18席を14席に縮小して営業している。とそこに子供連れの若い夫婦が現れる。子供は二歳ぐらいで絶対に食べないことが見てとれる。ただ、食べないからと言って席を作らないわけにはいかない。するとどうなるか。当然4人席に案内することになる。14席しかないのにここで4席つぶれる。そして食べない子供が大人の席を2席分つぶしてしまっているのだ。この2席は売上が立たない。ではその分を親2人が(気を使って)高いコースを食べて客単価を上げてくれるだろうか?否、絶対にそんなことはない。普通のランチだろう。美味しくて楽しくて満足してくれるのは嬉しいし有り難いのだが…長居は困るんだよ。なぜなら2席稼働しないまま長居されると客数がそれだけ減ってしまうし、回転率も落ちるからお店側からすると目も当てられない状況なんだけど、そんなことお客さんは微塵も考えてくれない。では、このような子供連れが3組入ってきたとしたらどうだろう。それだけで14席のうち12席埋まってしまう。それでも売上は大人6人分だけだ。これが続いたらお店がどうなるかは明白だろう。子連れが入りやすい個人経営のカフェがどんどん潰れていく原因はこれ、単純に売上が取れないのだ。悪意が無いから厄介だし、少しはお店に気を使えよと思っても、お金に余裕のある世代ではないのでそれはそれで無理なお願いだろう。お店側に余裕が無いなら絶対に断りたいケースだ。出来れば資本的に余裕のある大手チェーンのファミリーレストランに行ってもらいたいと思っているのは私だけではないだろう。
もう一つの問題は、これも最近急増しているのだが、2人で来てランチ1人前をシェアするパターン。今日もあったが若い3人組の女子がランチ2人前をシェアして食べていた。量が食べれないとかではない。単純にお金がないのだ。お金はないけど写真は撮りたいというパターン。これが最近急増していて非常に困っている。インスタで見栄を張りたいから、人気のお店に入って「いかにも食べた風の写真」だけ撮って、できるだけ安く済ませようとする。お店側の視点に立つまでもなく迷惑なのは分かるだろう。女子3人がそうそうすぐに帰るはずもなく、ダラダラ長居されるのがオチ。あぁ、リテラシーの低さよ。ただ、「それは困ります」とか「帰ってください」とも言いにくいもどかしさもある。その子たちはネットに上げる前提で来ているのだから、こちらの行動がすぐにネットに晒される危険があるのだ。やれやれ、どうしたものか。お店に気を使ってくれる常連さんなら絶対に起こらない問題なんだが、いかんせんここは田舎、お店が少ないのでどうしても色々な人が集まってしまう。忙しいのに売り上げがないというジレンマ。やっとウィズコロナにシフトして「さぁ、今までの赤字分を取り返すぞ!」と意気込んでいるのに、客単価も回転率も下げられてしまうという最悪なパターン。ん〜、なんとかしたいけど…難しいなぁ…

あーだこーだ考えながら一人で悶々としている時、ちょうど名古屋でヨシックスホールディングス吉岡会長のセミナーがあると聞き、せっかくなので息抜きも兼ねて参加することにした。あの「や台や」や「や台ずし」を展開する東証1部上場企業の会長さんだ。話の内容は数字があまりにも大き過ぎて300億とか500億とか言われても全く実感が湧かないが、最後の話だけは耳に残った。「いよいよコロナ禍が終わって、アフターコロナというかウィズコロナの時代に入ります。私はねぇ、コロナが始まった時からずっと言い続けていたんですよ。余計なことはするな、今は我慢の時だと。動くのはもう少しあと。人は必ず集まるから、そのタイミングを見逃すなと。あと少しだ、もう少しだ……3ヶ月経ってあと少しだ、もう少しだ……一年たってもあと少しだ、もう少しだと。結局そのまま2年経っちゃったなぁ(笑)」ここに集まっている飲食店経営者たちは、誰もがお客さんは必ず戻ってくると信じて営業を続けている。2年前は終わりが見えなくて不安しかなかったが、今はちょうどトンネルを抜けて明りが灯ったところ。さぁいよいよだとみんなが鼻息荒く一斉にエンジンをふかしている状態だ。みんなギラギラしてるなぁ(笑)少しは見習わなきゃ。みんなが描いている今後の必勝ロードマップを聞いていたら、自分の悩みがなんだかちっぽけなモノのように思えてどうでもよくなってきた。こうやって酒を酌み交わしながら話せるってホント最高だな。飲食店ってやっぱり素晴らしい!

4月28日、1ドルがついに131円を突破した。この円安はいよいよヤバいぞとネットニュースをぐるぐる読み漁っていた時、ちょうど一通のメールが届いた。それは秘密工房のECサイトがクレジットカードの審査に通ったというお知らせのメールだった。よっしゃ、ついに来たぞ!!これであとはカードのテスト決済を済ませて、不具合がなければいよいよサイト公開となる。続けざまに決済管理会社から「テスト決済を行なってください」と連絡が来た。その流れですぐさま取り掛かかるが……ん?……あれ?……上手くいかないぞ?なんでだ?と、結局その日は不具合が解消されずサイトの公開ができなかった。そして先方から「明日からゴールデンウィークに入ってしまうので続きはゴールデンウィーク明けになってしまいます。申し訳ございません」との連絡を受けてガッカリ。おいおい、こんなに気分盛り上がってたのにゴールデンウィーク明けって!って文句言ってもこればっかりは仕方がない。とりあえず諦めるとして、そういえば明日からゴールデンウィークだった。すっかり忘れてたわ(笑)今年は実に3年ぶりになんの規制もなく行動制限も一切ないゴールデンウィークになる。どうなるんだろう…暇なのかな?忙しいのかな?まぁできれば今までの鬱憤を晴らすような大爆発を期待したいものだ。




カフェパルランテ/秘密工房  三井隆義

〒487-0026 愛知県春日井市不二町2-6-7  0568-53-2477

営業時間 12:00~22:00 (ランチ12:00~14:30LO・ディナー17:30~21:00LO)
不定休(noteで告知します)
P7台(乗り合わせて来てください)

http://www.caffeparlante.com/ ←カフェパルランテの歴史(2009年7月~)
https://www.facebook.com/ciccio.don.925 ←マスターのFacebook
https://www.Instagram.com/caffeparlante2009 ←マスターのInstagram


お豆の購入はコチラからどうぞ↓↓↓ _|\○_オネガイシャァァァァァス!!

私が現在連載中の日本外食新聞が気になる方はこちらを↓↓↓


最後まで読んでいただきありがとうございました。
記事をシェアして頂ければ、寝る前にあなたの幸せを願います。
私をフォローしていただければ、必ず幸せになります(๑•̀ㅂ•́)و✧

いいなと思ったら応援しよう!

三井隆義:元喫茶店マスター
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!いつも応援してくださる皆様に支えられています。頂いたサポートは感謝の気持ちを込めて私の仲間(飲食業界)のために全額使わせて頂きます!宜しくお願いします!