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「お店に、他店のショップカードを置く」という事

生業に、場所に、血が通いきっているか。

自分の店舗や自分の事業の、細部のわずかな差に、その場所の色が大きく現れます。
今回は、そんなお話しをさせていただきます。

時折、「店内にショップカードを置かせてもらえませんか?」と、お店に飛び込みでいらっしゃる方が居ます。



少し厳しいようですが、私が他のお店に行った際の視座もそうなのですが、
「その場の店主が、血の通った説明や心からの推薦ができない」ショップカードやチラシの設置は、まず全く効果がありません。
いわんや行ったこともなく体験したこともないお店をや。
情報に溢れた日常の中で、ただ何かが置いてあるだけでは、人が動く事はありません。


また、置く場合でも、お客さん全員に一様にフィットするものは、存在しません。

一人一人異なる、ひとりの人間です。
お客さん全員に推薦するのは、お客さんひとりひとりの好みや思考を鑑みていないので、少し乱暴な側面もあります。「一方的」という事です。


従って、自分の大切なお客さん達の中で、
「双方向にコミュニケーション」をするなかで、
「それを楽しんでもらえそうな人」が居た時に、
まず店主自身の言葉で伝え、
紹介の補足としてショップカード等を渡す。

それが良いのではないかと考えています。
全員に見える場所に置く必要があるものは、そうそうありません。きちんとコミュニケーションが出来ていれば、なおさらです。

お店、特に個人店は「双方向」なコミュニケーションの場所です。


また、とにかく自分のショップカードやフライヤーが「1人でも多くの目にとまる面が欲しい」、という思想は、
店舗の壁やテーブルを、車内広告のような、単なる目にとまるだけの「広告枠」として扱う思想も含みます。

お店は、血の通った店主が、現場でお客さんと共に気持ちの交換をして、営む事で成立する「生きた場所」です。
陳列棚でも、広告枠でも、ないのです。


本当に熱意を込めて、そのフライヤーを置くことを希望するならば、まずその場の店主に体験してもらう事が先です。
そうでなくとも、自身のこめた想いや「どんな人が楽しめるのか」「来た人がどう嬉しいか」などを、少なくとも「込めてあるもの」をきちんと伝えて欲しいと思ったりもします。

カフェトリエの場合、さらに複雑です。
お店の店主が毎日変わります。

従って、店内に"常設で全曜日"置くものは、
「全店舗の店主が理解」していて、
「どんな店主の、どんなものなのか」が、
伝えられる物のみ、
としています。

事前にきちんと周知、共有した上で、店内での常設展示や常設販売が、成立します。
そうすると実際に、売れていきます。
そうしなければ、売れません。
(各曜日店舗の営業期間のみであれば、各店主の判断で置くことはもちろん可能です)


店内にあるひとつひとつ全ての物を、その場に居る店主が「心を伴って」語れるか?
これが大切です。


 
物を置けば売れる、人を動かせる。
とにかく1人でも多くの目につく場所で。

という、人を数字として扱い、場所を無機的な媒体として捉える思想は、今すぐ火をつけて燃やした方が良いと思われます。(ろくな煙はでないでしょうけども。。)


人を皆等しい「数字の1」として無意識に扱い、数を増やそうとするのではなく。
「趣味嗜好が異なる血の通った人間」と、ひとりひとり、人と人として向き合えたら、たのしくあたたかい場所が、ゆっくりでも着実に出来上がっていく。

と考えています。


「置かせてくれませんか?」と、近隣のお店をまわる熱量はとてつもなく大きいと感じます。
だから、私はなおさら、勿体無いと思ってしまいます。
更に、その熱量に当事者としての心がきちんとこもっているなら、それが無駄にならないように。



ショップカードの件に限らず、

店舗運営や事業設計で、不安や目の前のことで頭がキューっとなる中、判断が必要になったら、いつも、少なくとも、
・血の通った判断であるか?
・双方向になっているか?(一方的になっていないか?)
に、立ち返るのが、大切だと思っています。


その場所に集う人たちの間で、想いの太い繋がりのない、スペースだけを貸すいわゆる「場所貸し」は、楽しそうですが、やっぱりとても自分でやるのは苦手です。


今、人と人がせっかく出会える「場所」は、
人を考え、人を大切にした、中身もあたたかい場所であれたらな、と思います☕️

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