飲食店の「客単価はこちらで設定することが出来る」│カフェ開業メソッドvol.10
これから開業計画を立てようとしてる人にとって、売上の予測、つまり何人の人が来店し、いくら使うのか(客数×単価)ということを机上の空論ではなく、なるべく正確に知っておきたいと思っていることでしょう。もちろん私もそうでした。
融資の際の事業計画にしても「売上予測」が必須項目です。「そんなもんやってみなきゃわからんちゅうに!」が地球上全開業希望者共通ワードでしょう。もちろん、融資する側がそれを訊きたいという心情ももちろんわかりますし、それ以前に何より店をやろうとしている自分自身が知りたくてしょうがないでしょう。
私もこの部分に関しては無数の本や人間その他様々な情報をアンテナ張り巡らして貪欲に得ようとしてきましたが、いかんせん話がやはり他人の家に土足で踏み込むような感じもあるわけで気を遣いますし、また気を遣うべきだと思います。
私自身も例えば来店されたお客さんにいきなり出し抜けに「毎月どれくらい儲かってんの?」「何人くらい人くんの?」って言ってきた人には「想像におまかせします」と顔だけはにこやかに完全回答拒否の姿勢はこれからも変わりません。
でもここではしっかりと述べさせてもらいます。
自分の店の状況のみならず、これまで私が収集してきた情報の総括及び実際の現場での統計等、そんじょそこらの飲食店コンサルを名乗る人よりも正確な数値を知っているという自負があります。これに関しては真面目に「お金をとっていい情報」だとすら思いますが、ここでは平気で喋ります(笑)。はい、前置きでした。それではいきます。
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1日の人数の下限を「席数と同じ(1回転)」で考えてみる、という話はそれこそメチャクチャ重要なのですが、もうひとつ重要な「単価」の話をすると言って前回終わったので、話がとっ散らかんないうちに先にこの単価の話をしてしまいます。
まずは何度も前置きしていることですが、「ランチやディナー等フードをほとんど置かず、ドリンク中心で、しかしサイドメニュー(メインであるドリンクも頼みたくてしょうがなくなる類のものに限る)は用意してあるお店※テイクアウトも基本的に無し」を前提として話を進めますね。
この手のお店の客単価は、行きますよ?ズバリ・・・
(そのお店の4番メニュー、注文最頻度メインドリンクの値段)×1.2または1.3です。
この公式は本当に価値があるんです。有り難がってください(笑)。
例えば喫茶店(しつこいようですがモーニングやランチをやらないお店ですよ)で、筆頭メニューが「ブレンドコーヒー¥450」のお店であれば、客単価は540~600円弱だということです。スタバだと筆頭メニューが少し割れる、つまり単なるコーヒーというよりラテやアレンジコーヒーがかなりの注文頻度と思われるため微妙ですが、ドトールなどでは当てはまると思われます。公式公開はしていないでしょうがおそらく「当たらずとも遠からず」の自信はあります。
私のお店の場合、
筆頭メニュー「文明ブレンド¥620(税込)」×1.3=806円
驚くほどこの数値に近いです。
vol.08で「月に112,000円で生活するための指南書ではありません」の「16×700×25×0.4=112,000」の式では、単価700円で計算してみました。
これにも意味はあって、先に述べているように「ちょっと高くてすごく美味しいもの」にしてほしいのです。係数が1.2または1.3と決まってしまう以上、どうしたってこの「四番筆頭メニュー」の元々の値段に全てがかかっているわけです。なんとしてでも単価で700円くらいには持っていってほしいのです。そうなるとつまり「筆頭メニュー」は税込で550円前後である必要があるということです。
ここでひとつまた鉄の意志を持って、「筆頭メニューのドリンクが550円以上することに自分自身がビビんないこと」を徹底してください。
例えばコーヒー一杯あたりの全国平均値は400円です。ファーストフードやチェーン店を含めてです。
あなたのお店のドリンクの価値、美味しさ、ってそんな程度でしょうか?高価格帯にビビるよりもとにかく何としても「高いけどすごく美味しい」を追求してみてください。「安くて美味しい」ではダメで「高いけどすごく美味しい」というところから目を逸らさずそこでだけ勝負をかけてください。
以上が単価の話で、話が前後しますが、さてまた「人数」の話に戻します。
その前に、「単価」と「客数」、さてどちらが大事でしょう?「どっちも大事だけど強いて言えば・・・」なんかではありません。こんなものあまりにも当たり前で圧倒的大差で「客数」のほうが大事です。「単価」は今回述べたように、こちらであらかじめ決めることが出来るんです。操作が可能なんです。
少し変なこと言いますと、私は自分の店の単価が900円を超えたりすると、あまりいい気はしません。そこには不自然性を感じるといいますか、健全な感じがしないんです。まぁそれはそれとして、とにかく「単価」はだいたい決まってくるものです。
ところが、「客数」だけは自分で決めることが出来ません。飲食店のみならず、あらゆる営利目的である会社はすべからく、日夜この「集客」という部分で頭を悩ませ企業努力をしているわけです。カフェも同じ。「集客」は大命題です。というわけであらためまして仕切り直しで、「客数編」参ります。
はい、これまた引っ張る価値が存分に有り余るほど大事なポイントなので、引っ張ります(笑)。