Vol.8「女性が一人でも入ってきやすいお店」
タイトルにあるような「女性が一人でも入ってきやすいお店」というのは、実は飲食業界の繁盛店の合言葉と言っていいと思う。
俺もこれを基準に考えていきたい。
言うのは簡単だが、これはいわば最高レベルの環境づくりともいえ、大変難しいことだと思う。
難題だし、明確な答はないのかもしれないが、逆に、「どんなお店だと女性(なかでも20~40代)の一人客は寄り付きにくいか」というのは、案外予想はつくので、以下にまとめてみた。
・店内は有線あるいはラジオでメチャメチャ「日常風」なものがかかっている。
・スポーツ新聞がおいてある。またはジャンプ系の単行本が油っぽくおいてある。
・客席カウンターの上にスタンバイ用の氷やグラス、シルバーがあったり、また調味料や食材仕入れ時のダンボールが置いてあり、そのダンボールには「下仁田ネギ」とか力強く書いてあったりする。
・ワンパターンなモーニング(トーストとゆで卵と一口サラダとか)やランチ(ナポリタン、ミートソース、オムライス、しょうが焼きetc)がある。
・ズバリ味がまずい店
・カウンターに決まった常連が居座って、店のマスターとずっと話してる店
・トイレが汚い。ハンドバッグなどを置く場所がない(「化粧室」という概念がない)店。
これらをザックリ突き詰めていくと「日常的(悪い意味で)」で「汚い」お店は女性客に敬遠される。
ってことは、「脱日常の雰囲気」を味わえ、「クレンリネスが徹底」された綺麗なお店が、女性が入りやすいってこと。
別に声を大にしていうほどのことじゃない当たり前のこと。
このうち、センスも才能も関係なく、努力だけで出来るのは「クレンリネスの徹底」つまり掃除である。
俺が見てきたこれまでのカフェリサーチの中では、4割の店が汚れていて、残り6割のうちの4割以上が「汚れてない」レベル。「掃除はされている」レベル。
特にトイレや窓ガラスがピカピカに磨き上げられてるお店は全体の1~2割だった。
ちなみにマクドナルドやスタバのトイレやガラスはピカピカに磨き上げられている。
資本力や価格競争で当然のように負けていながら、店主の努力だけでどうにかなるクレンリネス部門でも負けてるなんて、そりゃ完全敗北である。
個人店は何かとチェック、監視する人間がいない分、甘えが生じやすいのだろう。
口先だけで肝に銘じるのではなく、3ヶ月ごとに店外、店内の様子を写真におさめ、時の変化による店の消耗、老朽化も含めチェックしていこうと思う。
ところで俺はこれまで自分の店を「Café」という言葉を意識的に使うようにしてきた。
正直いうと最も的を得た業態名は「珈琲専門店」かなとは思う。
または珈琲以外のドリンクや軽食も置くわけだから、やっぱり喫茶店なのかもしれない。
それに昨今のCaféっていうのは驚くほどフードやスウィーツが充実しているので、この点を考えても俺の店はCaféじゃないのかもしれない。
でも敢えてCaféというカテゴリーに入れておきたいのだ。
喫茶や珈琲専門店、ましてや純喫茶などと銘打った瞬間に女性の一人客が遠のく気がするのだ。言葉の持つイメージだけの問題なんだか。
ちなみに「男性が一人でも入って来れる店」は考えないの?
男をバカにしてんの?っていう声に応えます。
だって男性の一人客ってほとんどいないんだもん、いてもマスターのもともとの知り合いだったりするんだもん・・・がやっぱり率直な答かな。
俺はそれこそ中学生の頃から一人で入ってたけど、これは異常なのもわかってるから。
それに俺もそうだけど、一人でCaféに入ろうっていう男が選ぶお店の基準は実は先に述べた条件と同じだったりする。つまり「脱日常」と「綺麗なお店」。
いや男どころか、一人客じゃなかろうが、なんだろうがこの2点を満たすところは、老若男女全方位的にニーズを満たすと思う。
だから「女性が一人でも入りやすいお店」を基準にするというのが、最も自分の店に厳しいハードルなんだということで、男性のお客様を差別するつもりはもちろんない。
またこれは蛇足だが、OLと呼ばれるみなさんは週に4~5日は寄り道をする、といわれる。
そして中でも飲食は「価格にこだわらずおいしいものを食べたい」というのが、
20~30代の人の60~75%の考えで、他の年代よりも高い(農林漁業金融公庫2004年調査)。
一方、以前コブシャウメンバーである時さんとガンちゃんと俺の3人で飲んでた時の話だが、時さんがガンちゃんに、「ちなみに喫茶店って行く?」といい、ガンちゃんは「漫画喫茶で仮眠するほどでもなく、メシ食うでもない、なんとも中途半端な時間が空いた時なんかは入りますかね」と言ってた。つまり、基本は「入らない」ってこと。
これがまさに男子諸君の超大多数派なのだろう。
それでは次回、俺がこれまで見てきた星の数ほどのCaféや喫茶店の中で、厳選したフェイバリット店、及びワースト店を紹介していきたいと思う。