「個人店ではフロントエンドとバックエンドという考え方を履き違えないように」
商品を売る際に「フロントエンド」と「バックエンド」という考えがあります。
「フロントエンド商品」というのは一言で言えば「客寄せパンダ」です。
新規のお客さんがまず食いつくような商品です。
それは激安商品なのかもしれませんし、圧倒的クオリティのものかもしれませんが、早い話が消費者にとっての「コスパが良いもの」です。
いっぽう「バックエンド商品」とは「最も利益率の高い商品」つまりそこでお店は儲けているという商品のことであります。
スーパーなんかで「卵お一人様限り○○円!」とかそういうのが「フロントエンド」ですね。
一昔前であれば大型スーパー、百貨店、量販店に行き、そこで目玉商品(フロントエンド商品)を買いつつもさらに「そういえばこれも切らしてたから買っていこう」となっていました。
「卵」が激安だからそれを買ったスーパーで「今日はこの卵を使ってすき焼きにしよう」となった時点で肉もネギも春菊もしらたきもおそらく全部そこのスーパーで購入する人が多かったと思います。
もちろん今でもこのような購入パターンは多いしだからこそ大型スーパーがやっていけるのですが、今の世の中は「選択の時代」であります。
卵が安いからこのスーパーで買って、牛肉は肉屋さん、野菜は八百屋さんで「より良いもの」を買いたいという人も増えてきています。
こういう発想が消費者に根付くと大型スーパーの経営は厳しくなっていきます。
昨今、百貨店やデパートが潰れているのもこの「選択の時代」が背景にあります。
さて、飲食店に絞って話をしますと、例えば大手のマクドナルドの主軸商品はもちろんハンバーガーで、松屋、すき屋、吉野家はもちろん牛丼で、これらがフロントエンド商品といえます。
ではこれらのお店の「バックエンド商品」とは何か?それはマックであればポテトやドリンク、牛丼3大チェーンは玉子などのトッピングやサラダなどがバックエンド商品であり、実際はこれらにより利益を得ているといえます。
ハンバーガー屋さんでハンバーガーの単品だけを買い、牛丼店で本当にただ牛丼だけを注文する人だけがお客さんになったらこれらチェーン店はおそらく崩壊するでしょう。
ただこれらのお店はそこの主軸商品だけではほとんど利益が出ないというこの構造を私は否定するつもりは全くなく、チェーン店はどこもこの主軸商品に対して涙ぐましい企業努力をした結果それがフロントエンド商品となり得ているともいえる大変シビアな世界なのであります。
ではカフェではどうでしょうか。
これもやはり大手チェーン店、例えばスタバやドトールなどであればやはりメインである「コーヒー」はかなり廉価な価格がついており「コーヒーがフロントエンド商品」となっており、サンドイッチやスイーツやクリームトッピング等が「バックエンド商品」となっています。
さて、ここからが重要です。
ここカフェラボの皆さんがこれからやろうとしているような「ワンオペ、あるいは小規模個人店のカフェ」は主軸である商品(例えばコーヒー)をフロントエンド商品には絶対にしないでください。
新規のお客さんが来店動機となるような商品という意味では紛れもなくコーヒーはフロントエンドと言えるのかもしれませんが、それだけでも十分な利益を出せるという収益構造にしてほしいのです。
つまりカフェにおけるコーヒー(もちろん主軸が紅茶や日本茶である場合もあります)はフロントエンドでもあり同時にバックエンドでもあるということです。
特に古き良き純喫茶の個人店なんかには本当に多く見受けられるのがコーヒーが350円くらいで提供され、トーストやサンドイッチやパスタ(ナポリタン率高め・笑)、そしてケーキでどうにか単価を上げているといったお店ですが、これ本当に本当に本当に(大事なことなので3回言いました)やめてください。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?