Vol.2「何故、珈琲の店(ドリンク中心の店)なのか」
料理をメインにした店にはいくつかの弊害がある。
・食材仕入れ原価に40%はかかってしまう。
大手チェーン店でセントラルキッチンがあるようなところでも、30%はくだらないわけで、個人店にとっては大変不利。
・ランチ、ディナータイムだけにピークが集中し、それ以外のアイドルタイムが生まれることで、人件費の効率が悪い。
・食材、特に生鮮食料品には廃棄ロスは避けられない。
・仕入れ原価を下げるためには大量ロットでの注文が必要のため、在庫スペースが必要になる。
・オペレーションの面からも複雑で、特別な技術を必要とするものが多く、シェフ・板前・パティシエなどの専門家を雇う必要が出てくる。
しかしこれをドリンクメニューの喫茶店にした場合・・・
・粗利益率が高い
・繁忙、アイドル等の時間帯にムラが起こりづらい
・仕入れ量、価格に無理がなく、比較的長期保存に耐えられるものが多い。
・材料消費リズムは計算がたつので、廃棄ロスを無くし、余分な在庫や在庫スペースは不要である。
・厨房設備投資が断然安くすむことで、初期投資を抑えられる。
・同様の理由から水道光熱費をはじめとするランニングコストも安い。
・自分一人だけで、スタッフ無しでも機能させることが出来るため、人件費がかからない。
・また幸いに繁盛店となり、スタッフを雇用することになっても、作業オペレーションがシンプルであるため、求人採用も比較的容易かつ商品の味質等に差が生まれにくい。
こんな感じで、資本的弱者が始めるにはドリンク中心の店が望ましい。
しかし、これらのことはこうして分析するまでもなく、多くの人が直感的に、というか消去法的に「商売でもやるか」と思いたった時にバーンと飛び込んでくる発想であり、このように初心者でも参入しやすいからこそ絶対数も多く(飲食業の中でも喫茶業は今でも10万店を超える断トツの一位)、それゆえ廃業率も極めて高い。
このシビアな現実があることは常に忘れないでおこうと思う。
しかし、繁盛店をはじめ多くのカフェをこの目で見て、繁盛店は偶然じゃないことを確信。
繁盛店はなるべくしてなっている現実を知り、方法論的なものがあり、それを実践することは甘いことではないながら、絶望的なことではないということもわかった。
あれ?そもそも「何故、珈琲なのか?」というテーマで今回は書くつもりでいたが、このままでは「ドリンク中心の店」の理由に終始してしまったので、次回こそは「何故、ドリンク中心のカフェの中でも珈琲に完全に特化した店にするのか」を深く述べていきたい。