カフェ経営で「月に112,000円で生活するための指南書ではありません」│カフェ開業メソッドvol.09
16×700×25×0.4=112,000
これはいったい何の数字、そして係数でしょうか?
※ちなみに8坪の店舗という前提での数式です。
前回はこれで終わったので、とっとと答きます。
① 客数×②単価×③営業日数×④利益率=1ヶ月の収入
です。
これはかなり下限(でもけっして最下限でもない)の発想であり、いわゆる損益分岐点ともまた異なります。というよりこの状態はそもそも損益分岐点にも到達していない場合がほとんどだと思います。
※損益分岐点についてはいくらでもすぐ調べがつくので各自勝手に(笑)お願いします。
それでは①~④の各数字について述べていきますが、細かい根拠は後回しにします。
まずは①の客数について。
8坪で16人ってことは2回転?
違います。
ここで提唱している業態(ドリンク中心の店)では1坪あたりに席数2。つまり店舗坪数の倍が席数の目安と思ってください。つまりここで①の客数はつまりは席数と同じ回転でいえば1回転ということになります。
え?それはつまり回転無しってこと?さすがに消極的過ぎでしょ!って思いましたか?実際、世の中には「統計書」のようなものがあり、それで喫茶・カフェ部門を見ることも出来ます。それによれば平気で3~4.5回転などと記されていたりするかもしれませんが、しかしこれはいわゆる平均値のまやかしなので絶対に信用しないでください。サラリーマンのボーナスの平均値が70万円と発表されて「そんなわけないだろ!」と握った拳の行くあてなくまた手を開くしかない人が多いように、エリートの高給取りも含めてカウントしたその実態はつまりは二極化。
お店も同じことです。大手チェーン店一等商圏駅前一等地の店も含めてしまってはもう何の根拠にもなりません。そして何度も念を押しますが、このブログのモデルは「スタッフを雇わない、一人で運営するお店」です。2~2.5の平均回転数が実現出来ればそこのお店は超優秀です。
個人店(しかもワンオペ店)で2~2.5の回転がコンスタントに可能であれば苦労はしません。いや、というより苦労します。私のお店は土日祝日の場合、それくらい回転する時も多いのですが、イメージとして要は「ず~っとオーダーを作り出し続け、手が止まっている瞬間が全くない」状態がこのあたりの次元です。
土日だけならまだしもこれが毎日続くとおそらく店が倒れる前に店主が倒れます。それが実態なのにいわゆる「統計書」を根拠に、カフェの専門学校、果ては融資先である公庫等もこれを根拠としていることに驚きます。
ただ、これは考えようによってはありがたい話で、席数×2.5回転の人数が毎日コンスタントに入る事業計画が通ってしまうわけですからシメシメです。ですから融資先へのプレゼンはその数値をぜひとも使わせていただくとして、でも本当のところは、他人に言わなくてもいいのですが、実態分析は徹底的に厳しく行ってください。開業前の段階でこの読みが甘い人がメチャクチャ多いです。
ここで大事な補足をしておきます。
先ほど、私のお店は土日祝日になると2.5回転以上することが多いと述べましたが、坪数を述べていませんでした。私のお店は床面積で言えば10.5坪なのですが、中二階を作ることにより12~13坪ほどになりました。席数は27席あります。
つまり27×2.5回転=67.5人になりますが、これが8坪の場合、今回の数式通り、16席カウントにすると、16×2.5回転=40人。
「40人ならそんなにぶっ倒れるほど大変じゃないはずだ」と考える人がいるかもしれません。はいそのとおりだと思います。40人であればオペレーション的にも適度な余裕も生まれ、理想的な人数ともいえましょう。
しかし、この回転数というものは単純計算にはならないのです。
10坪以上あるお店が回転するより8坪以下のお店のほうが回転率は「低い」と私は踏んでいます。つまり理想的な40人なんて人数は至難の業になってきます。
理由を述べます。
これはまず満席、いや、「満席感」と呼びたいことなのですが、8坪の店内レイアアウトとして、
・カウンター8席
・4人掛けテーブル(大)×1
・2人掛けテーブル(小)×2
の計16席を確保したとしましょう。
変に甘くも厳しくもない状態として、カウンターに4人、大テーブルに2人、小テーブルに各1人と2人計3人、これで合計9人。
実際に体感するのが一番ですが、これでもうかなり「満席感」があります。というよりテーブルは一人でも座ってしまえばそこは満席であり、ここで着目すべきはカウンターなのですが、8席のうちすぐ隣の席に人がいないように座った状態は4席です。外から「ひとつおきに空けて人が4人座っているカウンター」を見た人はきっと「あのカウンターのどこに座ってもすぐ隣に人がいることになる」認識は出来て、それは即ち既にお店全体に「満席感」があり、もはや「今はやめておこう」となり、機会損失となります。カフェはお客さんがその空間に対してもお金を払っているというのは論を待たないことですよね。
お客様目線に立てばわかることも、どういうわけか経営者目線になると途端に「席数がこれだけでこれだけ回転すればいけるから固定費がかかんないように狭いお店でいこう」と妙に強気(ある意味弱気?)になったりするので、どんな時も「一切の店側の理屈は無視して、自分が本当に純粋にお客さんであったとして快適な感じはどんな空間なのか」を忘れないでください。
まだ①の「人数」の話しかしてません・・・(笑)。
しかもこの「1回転(というより席数と同人数)」で考えてみる、という部分の大事な大事な説明はまだこれからになります。
また②の「単価」の話も相当重要にしてかつ実はこれほど曖昧に語られているものもなく、でも私はこの単価に関して画期的と呼べる算出方法(はい、意図的にそうなるように仕向けられる方法)を知っています。
ある意味表彰モノですよこれ。
そんな表彰モノのあれやこれ、隠さず明かしてしまいましょう。
はい、ここで引っ張ります。次回の「飲食店の「客単価はこちらで設定することが出来る」もお楽しみに。