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単なるロマンス映画でも、単なる社会派映画でもない…アラブ映画『ドゥニヤ』
割引あり
レバノン人女性映画監督、ジョスリーン・サアブの『ドゥニヤ』(2005年)は、表向きラブロマンスの形をとりながらも、実際にはエジプト、さらにはアラブ社会の根幹に切り込む鋭い作品だ。私は2018年10月20日、東京・御茶ノ水の「アテネ・フランセ」で開催された山形ドキュメンタリー映画祭関連企画の上映会で鑑賞した。観客の多くも、この作品が単なる恋愛映画ではないことを強く感じ取ったはずだ。
主人公は、カイロでアラブ文学を学びながらダンスを通じて「愛とは何か」を探求する女子学生のドゥニヤ。演じるのは、当時エジプトのスター女優だったハナーン・トルク。その相手役とも言える博士役は、エジプトの国民的歌手ムハンマド・ムニールが演じる。このキャスティングだけでも、アラブ・エンタメファンにはたまらないが、この映画の核心は単なるスター映画の枠を超えている。
テーマとして強く打ち出されているのは、「アラブ社会における愛の概念」「文学と言論の自由」「女性の身体的抑圧」という三要素だ。ドゥニヤは、文学を学ぶことで「愛」というものの多層的な側面を知るが、彼女自身の経験を通じ、それがいかに困難なものかを突きつけられる。彼女のダンス修業は、自己表現の解放でもあり、アラブ社会で女性が自由に生きることの難しさを示唆する。さらに、もうひとつの大きなテーマとなるのが、女性割礼という痛ましい現実だ。ドゥニヤ自身がこの過酷な慣習の被害者であり、彼女の精神的な抑圧と結びついている。
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