トルコ・コーヒーはなぜ素晴らしいか1
コーヒーを飲むときに、コーヒーの歴史を感じながら飲む人は、そうそういないんじゃないかな、と思う。
でも、「トルコ・コーヒー」を飲んでいる時には、割とひんぱんに、コーヒーの歴史を感じるような気がする。トルコ・コーヒーのいれ方は素朴だから、コーヒー文化の始まりを、飲みながら実感できる、というのがその理由じゃないか、と思う。
トルコの最大都市イスタンブールには、銅製の小鍋にコーヒーと水を入れて、炭火で煮立ててトルコ・コーヒーを作る屋台がたくさん出ている。
フィルターでこしたりせず、コーヒー液のうわずみを器用に飲む。
陶器や、陶器をおおう金属製の器も、その伝統を感じさせる小道具だ。
カフェも場所によってはこじゃれた感じのものが多い。例えば、イスタンブールのアジア側の「モダ」と呼ばれる一角。
食事のあと、一杯のコーヒーを求めて集まる人々で夜遅くまでにぎわう。
トルコ・コーヒーは普通、ジェズベあるいはイブリークと呼ばれる金属製の柄つきのナベを火にかけて煮詰めて作る。それは、カフェでも家庭でも同じ。一方で、日本でコーヒーメーカーが一般化しているように、トルコでも、トルコ・コーヒーメーカーが普及し始めているようだ。
そこで試しに、そのトルコ・コーヒーメーカーなるものを購入してみた。「OKKA」というトルコのブランドの中国製の商品。米国輸出用のものをアマゾンで買ってみた。コーヒー粉末を、水タンクを備えた機器に投入すると全自動でコーヒーを作ってくれる。一度に2杯分作ることができる。
こんな感じで、一度に2杯分作ることができる。一杯の量は60-70ccほど。手作りにしても、機械にしても、できあがるまでに数分の時間が必要なのも、トルコ・コーヒーの味わいのあるところだ。
先日、noteに書いた「モロッコ・カフェびたり紀行1」で、「何でもないようなひとときを楽しみ、幸せに思う感性」を指すトルコ語の単語「ケイフ」について書いた。
カフェでトルコ・コーヒーを飲む、というのは、この「ケイフ」を味わう、ということなのだ。