20年のあゆみを振り返る--カフェバグダッド×比呂啓対談⑤
カフェバグダッドの第一歩となった、「一日カフェ」の会場は、東京・下北沢にある「現代ハイツ」に決まった。カイロで買ってきた水たばこ10台を持ち込み、エジプトのポップス音楽についてのトークイベントを実施。2004年7月のことだった。てんやわんやで開催したイベント。その後も場所や形態を変えながら、継続していくことになる。
比呂 そういえば、「現代ハイツ」というカフェ。名前は聞いたことがあります。
カ 「現代ハイツ」は、水たばこを提供していない、日本の普通のカフェです。残念ながら、2016年に閉店してしまったんですが。
比呂 下北沢には、シーシャ(水たばこ)カフェもありましたね。
カ 下北沢一番街にあった「シーシャ」という店ですね。今もあって、同じ下北沢に2号店も出しています。一番街の店は、すごく狭くて、5人もはいったらいっぱいいっぱいという感じ。2号店のほうはかなり広々としています。ある著名なロシア研究者の方をみかけたこともあります。シーシャの吸い口をくわえながら、パソコンで執筆していました。
比呂 じゃあ、現代ハイツを会場にしたのは、広いところでイベントをやりたかったからなんだ。
カ まあ、そうですね。店も広いし、そもそもシーシャの器具を自分で持っていたので。カイロのハーン・ハリーリ市場で買った水たばこ器具を10セット、日本に持って帰ってきたんです。それを持ち込んで、参加者に吸ってもらおうと。カイロにいた時から、イベントか何かに使おうと思って、買ったんでしょうね~
比呂 その時のイベントの写真はあるんですか?
カ 「現代ハイツ」で開催した第1回は2004年7月でしたが、今回、20周年ということで記録をまとめるにあたって、写真探したんですが、ようやく1枚だけ発見されたんです。ただし、トークゲストに招いたアラブ史研究者の中町信孝さんと私しか写っていないもので、イベントの雰囲気はわかりません。水たばこを吸っている様子も写っていません。トークは、現在、関西の甲南大の教授をしている中町信孝さんに、エジプトのポップス音楽について話してもらいました。ビデオクリップも紹介して、とても盛り上がり、まさに、カイロのカフェ再現といった感じで。
比呂 その第1回イベントの写真があまりないのは残念ですね。ほかにイベントの様子がわかる写真は?
カ そうですね、これは、第3回イベントの写真で、東京・江古田の「ラリン」というイラン料理店が会場でした。
比呂 盛況じゃないですか! 何人ぐらい参加したんですか。
カ 40人ぐらいでした。この頃のイベントはだいたいそのぐらい参加してもらっていました。
比呂 そんなビッグなイベントだったんですか…カフェバグダッドは
カ どうしよう、どんどん衰退している、ってことですか…(笑)。まあ、当時は水たばこも珍しかったというのもあるでしょうね。こんな感じでやっていたんですよ。火のついた炭を載せてまわるのも大変で、手伝ってもらった友人たちも含め、大忙しでした。友人たちには、本当に感謝しかありません。
比呂 いやあ、めっちゃ大変ですよね。
カ そうなんです。だから、なんか疲れちゃって、この水たばこを出すスタイルは、4回で終わりました。
比呂 続けていれば、何かもっと形になったかも知れないね。水たばこカフェ開店とか。
カ そうですね~水たばこの器具も、それほど高いものを買わなかったから、だんだん壊れてきたりして、続けるのが難しくなってきたんです。
比呂 この頃って、宇都宮に住んでいましたよね。イベントのたびに東京に来たんですねか。
カ そうです。新幹線で1時間かからないぐらいなので、まあ、そう遠くないんですよ。イベントの時は1泊2日で上京、というパターンでしたね。
比呂 すごいですね~
カ まあ、水たばこ、あるいは水たばこカフェにかける当時の情熱はすごかった、ということですかね~(笑)