トルコ南東部を行く⑧--特産のオリーブ、工夫された食べ方
朝。海には面していないとはいえ、地中海からそう遠くない位置にあるアンタキヤ。アナトリア高原のカラカラに乾いた感じの空気ではなく、日本から来た身にも優しい、適度な湿度が感じられた。
ホテルの2階の部屋から階段を降りて、中庭に出ると、スタッフが朝食の準備を始めていた。ほかに宿泊客がいる気配も感じられない。ビュッフェではなく、座ったテーブルの上に小皿の乗ったおかずが並べられた。
大きく分類すれば、チーズ、野菜、オリーブ。それにオムレツ、パンの類いだ。
エキメッキ(パン)は、アナトリア半島で多い平たいものでなく、バゲットタイプ。いや、このトルコのパンが、フランスのバゲットの源流という説もあるから、そういう表現は不適切かも知れない。外側の皮はもっちり、中はふんわり。その違いを楽しめ。小麦の風味も十分感じられ、バターはむしろつけないほうがいいと思える。ジャムが3種類、チェリー、ブラックベリー、ビーツのものが出てきた。
オリーブの実は、緑と黒の2種。緑のほうは、何らかの香草と一緒に漬け込まれているようだった。叩いて果肉を崩して、塩をしみ込みやすくしている。こうしたやり方をみるのは初めてだったが、食べやすい。実から油がしみ出ているのか、表面がつややか。
一方の黒の方は、よく漬かっている感じで表面がしわしわ。塩辛さが強めで、舌触りも楽しみながら、少しずつ食べるのがいい。
チーズは、さまざまなものが並ぶ。食感、塩気もいろいろなので、食べていて飽きることがない。私は、酸っぱみが聞いたペースト状のものが好みだった。上にオリーブ油がかかっていた。シリアではシャンクリッシュと呼ばれる赤唐辛子粉を練り込んだチーズは、トマトやキュウリのキューブとあえられていた。辛みが変化球となって食がさらに進む。
オムレツは、薄焼きのものが出てきた。赤唐辛子が軽くふりかけられている。
パンのほかに、トルコの薄焼きピザ「ラフマジュン」。トルコ人はこれが本当に好きだな、と感じる。ピザとは異なり、生野菜を巻いてレモンを絞りロール状にして食べているのをよくみかける。
これだけ食べるともう満腹。チャイを飲みながら、日中どこに出かけようかと考えをめぐらせた。